2013年7月23日火曜日

中国に反旗を翻すフィリッピン(2):中国領事部、反中デモで一時業務停止

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●24日、中国広播網は記事「“フィリピンの島しょを奪おうとしている”と対中抗議デモ、国内の矛盾の転嫁狙う」を掲載した。フィリピン系移民が世界各地で反中抗議デモを呼びかけている。資料写真。


●尖閣諸島とスカボロー礁


レコードチャイナ 配信日時:2013年7月23日 20時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74649&type=0

中国大使館領事部、反中デモで一時業務停止―フィリピン

2013年7月22日、フィリピンの中国大使館領事部は
「安全上の問題により、24日は領事部の対外業務を停止する」
と発表した。
この告知は大使館の公式サイトに中国語と英語で発表されており、同日に現地で予定されている反中デモに対する措置だと見られている。
23日付で環球時報が伝えた。

報道によれば、ニューヨークに本部を設置する在米フィリピン人団体が、24日に国連本部と在外中国大使館・領事館の前でデモを行い、同国に対する中国の略奪行為に抗議すると宣言した。
同団体の関係者によると、フィリピンでのデモには5000人程度が参加する見込み。

今回のデモは明らかにフィリピン政府が黙認したものである、と記事は分析する。
同外務省は18日の発表で、デモは政府と無関係であるとしながらも、
「国民には平和的手段によっていかなる議題や立場についても発言する権利があり、それについて政府が干渉することはない」
と事態を静観する構えを示した。

中比両国はスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権をめぐって対立を続けているが、その一方でフィリピンは台湾とも緊張関係が続いている。
今年5月、台湾漁船がフィリピン沿岸警備隊による銃撃を受け、船員1人が死亡する事件が発生したが、この事件はなお完全には解決していない。
台湾・中央通訊社の22日の報道によると、台湾の駐フィリピン代表処が入居するビルと中国大使館領事部とは約1キロしか離れておらず、さらに上述の理由もあることなどから、同代表処では安全対策を強化し、デモによる被害を受けないように防備する予定である。

2012年5月と8月に中比両国がスカボロー礁で対峙した際にも、フィリピンの民間団体が各国の在外同胞に中国大使館前で抗議を行うよう呼びかけ、反中デモが発生した。
24日に予定されているデモでは、さらに大きな反響があると見られている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年7月24日 19時23分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74659&type=0

安倍首相のフィリピン訪問、中国けん制の意図は明白―中国メディア

 013年7月23日、参院選に勝利してねじれ国会を解消した日本の安倍晋三首相が、26~27日の日程でフィリピンのマニラを訪問する。
 比外務省によれば、安倍首相は同国のベニグノ・アキノ大統領と会談し、両国の協力関係や地域問題などについて話し合い、両国の戦略的パートナーシップをより一層確かなものにするという。
 中国国営・新華社(電子版)国際チャネルの報道。

 日比両国はいずれも中国との間で領有権に関する問題を抱えている。
 また、米国を除けば、日本はフィリピンにとって数少ない戦略的パートナーだ。
 2012年には同国最大の貿易相手国に位置づけられた。
 さらに、経済協力開発機構(OECD)によれば、日本は同国にとって最大の政府開発援助(ODA)供与国であり、2011年の援助額は5億9330万ドルに上る。
 日本の首相がマニラを訪れるのは2006年12月以来のことで、第1次安倍内閣時の安倍首相がマニラを訪問している。
 なお、記事では
 「今回のフィリピン訪問は中国けん制を意図したものであることは明白だ」
と伝えている。

 安倍首相のフィリピン訪問に先立ち、現地では「西フィリピン海(南シナ海)を守る」との名目のもと、NPO団体が設立された。
 「中国の南シナ海における周辺弱小国への横暴に対し、世界規模で抗議する」
として、24日にデモを行うことを宣言している。
 フィリピン国内では中国大使館前で5000人を集めて抗議集会を行う予定。
 当日、同大使館領事部は対外業務を停止する。
 デモについて、比外務省は18日、「政府が支持したものではない」としているものの、
 「民主国家であるフィリピンでは国民には平和的な手段で抗議の声を上げる権利があるはずだ」
との声明を出している。


 まあ、中国と韓国が手を結んだように、日本とフィリッピンが手を組んでも不思議はない。
 尖閣問題で反日デモが中国で行われたように、フィリッピンで反中デモがあってもおかしくはない。
 起こることが起こっただけで、どうということでもない。


レコードチャイナ 配信日時:2013年7月25日 11時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74693&type=0

“フィリピンの島しょを奪おうとしている”と対中抗議デモ、
国内矛盾の転嫁狙う―中国メディア

 2013年7月24日、中国広播網は記事
 「“フィリピンの島しょを奪おうとしている”と対中抗議デモ、国内の矛盾の転嫁狙う」
を掲載した。

 24日、オーストラリア・メルボルンでフィリピン系移民による反中抗議デモが行われた
 南シナ海問題の緊張を受け、フィリピンの民間団体が世界各地でのデモを呼びかけている。
 昨年5月、8月にも同様の呼びかけがあり、各国の中国大使館前でデモが行われた。

 24日のメルボルン・デモの参加者は約500人。
 参加者数は多くはないが、中国に与える影響は小さなものではない。
 その目的は
●.第一に国際社会での同情を勝ち取ること、
●.第二にフィリピンは国連海洋裁判所で提訴しているが、審理を有利に進めるためのムードづくりだ。

 ところがフィリピンのアキノ大統領は22日、年次報告書を発表したが、過去3年間の統治の成果を強調したのみで南シナ海問題には一切触れていない。
 専門家は反中デモをあおる背景には国内の不満をそらす目的があると分析している。


 昨年は尖閣問題で世界の各地で中国人の反日デモがくりひろげられた。
 ことしは中国国内ではそれを記念した「一周年記念デモ」は企画されていないようである。
 かわりに、フィリッピンによる反中デモが行われるようである。
 立場が逆になってきている。
 「弱り目祟り目の中国」
 そんなムードである。


WEDGE Infinity 2013年07月25日(Thu)  ハーマン・クラフト (フィリピン大学ディリマン校政治学部准教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3005

「南シナ海は我が領海」
“侵犯”続ける中国に打つ手探るフィリピン


●日本・フィリピン間で進む防衛協力拡大の主なポイント

 南シナ海で強硬姿勢を強める中国の脅威に直面して難局に立たされるフィリピンは、日本と極めて似た状況にある。
 共通の脅威に対する両国は、安全保障協力を強化し、その水準は史上最高レベルに達する。
 国連海洋法条約に基づき仲裁プロセスを選択したフィリピンの対応から日本が学ぶべき点は多い。
 フィリピンの国際安全保障専門家が考える対中戦略とは。

■新局面に入った仲裁プロセス

 2013年6月21日、国際海洋法裁判所(ITLOS)の柳井俊二所長はフィリピンのフランシス・ハルデレーザ訟務長官に、南シナ海の海域および陸地に対する中国の領有権主張について、フィリピンが起こした訴えを審理する仲裁法廷の5人の仲裁人(判事に相当)を任命し終えたと伝えた。
 仲裁人の任命は、1月のフィリピンの提訴で始まった国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく調停プロセスが新局面に入ったことを意味している。

 調停要請には幾多の争点があるが、最も重要なのは、中国が南シナ海のほぼ全域を中国領の一部と主張する根拠としている「9点の破線(九段線)」の適法性だ。
 フィリピン政府がこうした行動に出たのは、南シナ海を巡る自国(および他の東南アジア諸国)との海洋紛争で自己主張を強める中国に対し、取り得る選択肢が狭まっているからだ。

 09年3月10日、グロリア・アロヨ大統領(当時)はフィリピンの領海の基線を再定義する法律に署名した。
 基線の定義はUNCLOSの条項を順守するために行われたもので、南シナ海周辺の陸地についてやはり領有権を主張するその他東南アジア諸国も同様のことをした。

 法の制定に対する中国の抗議は予想されていたが、これほど真剣な抗議になるとは想定外だった。
 フィリピンは、一方的に領有権を主張したというよりは、むしろUNCLOSに課された期日を守ろうとしていた。

 ところが中国政府は、フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)の「南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)」の精神に反していると主張した。
 DOCとは法的拘束力のない合意事項で、基本的に、署名国(中国とフィリピンを含む)に対し、南シナ海の周辺海域および陸地の現状を変えるような活動にかかわらないよう要請するものだ。

 法律の署名後、この海域でフィリピンの漁師が中国から嫌がらせを受けた事件の報告が増えると同時に、同海域で目撃される中国の巡視艇の数も増えた。また、事実として公式には確認されていないが、中国空軍の軍用機による上空通過も報告されている。

 フィリピンと中国との関係悪化は、スカボロー礁を巡る中国の海洋監視艦とフィリピン沿岸警備隊(PCG)の船舶のにらみ合いで最悪の状況に落ち込んだ。
 12年4月10日に始まったにらみ合いは、ほぼ3カ月経ってようやく終わった。
 スカボロー礁は、最も近いフィリピン領土から西に220キロ離れた場所にあり、国際的な海図では、スペインの植民地時代以降、歴代フィリピン政府の施政下にあることが認められてきた。

 しかし、中国の地図上では、九段線で囲まれた中国領の中に入っている。
 九段線の意味するところは依然はっきりしないが、南シナ海問題に関する中国の公式発言は、この線に囲まれたすべての海域と陸地に中国の主権が及ぶことを暗示している。
 ITLOSに対するフィリピンの訴えが問題にしているのは、この定義と中国の領有権主張の根拠だ。

 フィリピン政府は、調停は「国際法に則った平和的かつ永続的な形の紛争解決だ」と主張し、自国の行動を擁護している。
 これに対し、中国は、第三者が関与する取り組みを拒み、領有権を主張する国同士が一対一で交渉を行うべきだと訴えている。

 中国の純然たる大きさ、特に同国が誇る海軍、海洋能力の優位性から、フィリピンは2国間協議では不利な立場になることを認識している。
 そこでフィリピンは法の支配と法の支配を象徴する国際機関に訴えることで、国際世論にアピールし、中国の優位性に対抗しようとしたわけだ。
 (編集部注=仲裁人は、両国政府と協議し、審理の進め方を決める。
 そのうえで、仲裁人は国際法に基づいてどちらの主張が妥当かを判断する。
 一方の当事国が申し立てれば、相手国が拒否しても仲裁手続きは進むため、何らかの裁定が出ることとなる。
 しかし、裁定には強制力がなく、実効性に乏しい部分もある)

■海洋警備能力の強化を図るフィリピン

 より戦略的なレベルでは、フィリピンは海洋警備能力の強化を表明しており、イタリアや韓国を含め、多様な調達先からの警備艇購入を増やそうとしている。
 だが、この取り組みが自国領海に関するフィリピンの目先の懸念に与えるインパクトは限られている。
 警備艇などの購入予算は限られているからだ。

 ベニグノ・アキノ3世大統領は既に、
 フィリピン軍(AFP)の近代化に18億2000万米ドル(約1800億円)の予算を割り当てることを約束している。
 この金額は、中国が13年の国防予算として正式発表した額の1割強にすぎない。

アキノ大統領は、近代化計画には、17年までに新型フリゲート艦2隻、対潜水艦戦能力を備えたヘリコプター2機、沿岸警備用の高速船3隻、水陸両用強襲車8台の購入が含まれていると述べた。
 すべてが計画通りに手配されたとしても(遅延が生じる可能性は極めて高い)、フィリピン海軍の能力強化に向けた取り組みは、実を結ぶまでに5年かかる。

 それより迅速に効果を発揮できるのは、米太平洋軍とAFPの協調、協力の拡大だ。
 米戦略国際問題研究所(CSIS)が11年6月23日にワシントンで開催した会議で、フィリピンのアルバート・デル・ロサリオ外相は
 「米国は今もフィリピンにとって一番の戦略同盟国だ」
と強調し、フィリピンと米国の関係をリセットすることが
 「同盟関係が国内の目標を果たすとともに、世界の安定に貢献し続けるうえで不可欠になった」
と指摘した。

 公式声明では、中国に向けた措置ではないと明言されているものの、この2年間、フィリピンを訪れる米国の軍艦の数が増えている。
 軍艦には空母や攻撃型原子力潜水艦も含まれている。
 フィリピンは、米国によるアジアへの「ピボット(旋回)」の発表を歓迎し、フィリピンへの米軍の定期ローテーション配備に向けて準備を進めている。

 また、フィリピンにとって米国は、海軍の各種装置や軍装備品の主たる調達先でもある。
 フィリピンは既に、退役後に修復された沿岸警備用ハミルトン級カッター1隻の引き渡しを受け、2隻目の最終納品を待っている。
 どちらもミサイル配備能力は持たないが、2隻目はミサイル配備用に改造されていると伝えられている。

 しかし、米国との関係は南シナ海でいざという事態が生じ、フィリピンの安全保障が脅かされる状況になれば、米国はフィリピンを支援するという「期待」に基づいている。
 この点は、日本の場合と異なる。
 尖閣諸島に対する日本の支配が脅かされた場合、米国は日本を支援することに完全にコミットしている。

 それでも、南シナ海、東シナ海双方において中国が強硬姿勢を強めていることは、フィリピンと日本を非常によく似た難局に立たせている。

 このところ、フィリピンと日本の間では安全保障協力の強化を模索すべきだとの意見が出ている。
 どちらも米国の同盟国であり、たとえ非公式なものであろうと、3カ国間の安保体制を確立することはできるはずだ。
 そうした体制の模索を促す共通の懸念材料は確かに存在する。

■史上最高水準に達する日比安保協力

 フィリピンと日本は12年7月に、向こう5年間を対象とする防衛協力拡大に関する合意文書に署名した。
 合意内容は、AFPと自衛隊の軍事交流、フィリピン海軍と海上自衛隊の相互訪問、内外の安保問題に関する会合の実施、防衛技術、知識共有、海洋安保に関する問題、情報交換などをカバーしていた。
 また、合意文書は、AFPの平和維持活動(PKO)センターと日本の防衛省統合幕僚学校国際平和協力センターとの協力拡大を明記している。

 第2次安倍晋三政権発足後、岸田文雄外相の最初の外国訪問先は、今年1月に訪れたフィリピンだった。
 岸田外相は、フィリピンと日本は戦略的パートナーシップを強化する必要があると述べた。
 この流れに沿って、日本はPCGによる訓練強化、通信システムの改善、装置のアップグレードを支援することを約束した。
 今後2年内にPCGに移転される多目的船10隻は日本の資金で賄われる。
 両国が直面する状況を認識するフィリピンは、日本の「再軍備」に関する提案を支持した。

 フィリピンと日本がともに直面する戦略的状況は、両国間で進む戦略・防衛協力を拡大させる大きなきっかけになった。
 両国政府が現在行っている協力のレベルは、日比関係の歴史上、例を見ないものだ。

 では、現状から踏み込み、安保関係をさらに強化する余地や理由はあるだろうか。
 東アジアにおいて両国が共有する状況を考えると、フィリピンと日本の戦略関係は維持すべきである。
 だが、現状の枠を超えて関係を強化すれば、非常に危険な領域に足を踏み込む。
 というのも、両国の関係強化が中国に向けられていることを否定するのは難しいからだ。

 日本の海洋巡視船が南シナ海で活動すれば、中国がこれを挑発以上の行為と見なすだけではない。
 他の東南アジア諸国は恐らく、日本と中国の対立関係を東アジアの玄関先に持ち込む行為と見なすだろう。
 日比安保協力の強化は今後、外交努力に向けられるべきだ。
 特に、係争中の領土・領海を巡る当該国の行動規範の制定に向けて努力すべきだろう。

 ASEAN諸国は長らく、南シナ海の問題をカバーする行動規範の採用を求めてきた。
 中国が署名する形で行動規範が完成すれば、現在の地域内の緊張がさらに危険なレベルにエスカレートする可能性を小さくするうえで大いに役立つだろう。
 同時に、東シナ海の状況を規定する同様の取り決めの雛形になるはずだ。

 南シナ海と比べた場合の歴史的背景の違いと力学の違いを理解したうえでも、平和的な関係へ向けた持続的な道筋を見つけるためには、やはり、古くに確立され、維持されてきた立場を超えて物事を考える必要がある。
 日比協力関係は今後、これを念頭に置いて、その協力の矛先を向けるべき新たな針路を見いださなければならない。

◆WEDGE2013年8月号より


jiji.com (2013/07/27-17:36)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013072700245

共同記者発表要旨=日・フィリピン首脳会談

 【マニラ時事】安倍晋三首相とフィリピンのアキノ大統領が27日、共同で記者発表した首脳会談の要旨は次の通り。
  大統領:
  両国が直面する安全保障上の課題について討議し、国際的なプレーヤーが責任ある行動を取るよう働き掛け、協力すると誓い合った。
 海洋分野の協力強化で一致した。
 これは戦略パートナーシップの柱だ。
 日本政府は巡視船と通信システム供与を通じて、フィリピン沿岸警備隊の能力向上強化へ支援いただけるので、感謝する。
 日本のフィリピン開発への支援にも感謝申し上げた。
 また、災害復旧支援のための借款への日本の前向きな対応にも謝意を表明した。

 首相:
  フィリピンは日本にとって基本的価値観と多くの戦略的利益を共有する戦略パートナーだ。
 この関係を一層強化するため、対フィリピン外交で四つのイニシアチブを表明した。
★.一つ目は活力ある経済をともに育む。
 マニラ首都圏の運輸・交通インフラにおける協力推進で一致した。
★.二つ目は海洋分野での協力を推進する。
 フィリピン沿岸警備隊の能力向上支援の継続を確認し、巡視船10隻を円借款で供与する旨を表明した。
★.三つ目はミンダナオ和平支援を強化する。
★.四つ目は人的交流を強力に推進する。
 四つのイニシアチブを通じて、両国関係をさらに強化させていきたい。



安倍首相、フィリピン海上警備支援を表明






減速する成長、そして増強される軍備


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