●インドネシアの自動車市場は急拡大しているが、タイと肩を並べるような生産拠点になるには、まだ多くの課題がある〔AFPBB News〕
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JB Press 2013.07.22(月) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38276
インドネシアの前に立ちはだかる価値連鎖の壁
(2013年7月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
アジアは、現在世界を覆う黒い暗雲にあまり影響を受けないと必死で信じたがっており、15年前のアジア金融危機で被害を受けた主な国の1つであるインドネシアほど、この期待が強いところはない。
この期待は部分的には、インドネシアは危機を切り抜けたため、今では同国の銀行が独力で経営されており、当時よりうまく管理され、脆弱なところも少なくなっているという事実に根差している。 また、北側の近隣諸国と違い、インドネシアの人口動態が好ましい状態にあるという事実にも基づいている。
アナリストらは好んで、その需要がインドネシア経済の原動力になるであろう若い人口のことを喧伝する。
■中国の需要に陰り、資本の流れも変化
●インドネシアの輸出の半分以上が1次産品(写真はインドネシアのビントゥル・サワラクのパーム油プランテーションで、原料のアブラヤシを収穫する作業員)〔AFPBB News〕
だが実際には、インドネシアの状況はそれほど単純でもなければ、バラ色でもない。
インドネシアは、かつて天然資源に対する中国の飽くなき欲求のように見えたものから最も大きな恩恵を受けてきた国の1つだ。
しかし現在、中国の需要は次第に減少しており、インドネシアが繁栄するためには、付加価値連鎖の階段を上らなければならない。
同時に、資本の流れが逆転し、新興国から流出するようになっているため、すべての新興国、特にインドネシアのような経常赤字を抱えた新興国にとっては、資本コストが増大している。
課題はいくつかある。
最も重要なこととして、インドネシアが経済のバリューチェーンを上るという望みを実現するつもりなら、豊富にある天然資源をそのまま輸出する以上のことをやる必要がある。
加工していないパーム油、コーヒー、石炭、鉄鉱石を輸出する代わりに、インドネシアはこれらのコモディティー(商品)を輸出する前に加工することを始めなければならない。
そして、天然ゴムをただ輸出する代わりに、それをタイヤのような完成品に変える必要がある。
シティグループのデータによると、現在、1次産品がインドネシアの輸出の半分以上を占める一方、自動車その他の道路運送車両は輸出全体の3%余りに過ぎないという。
インドネシアは、その多くが読み書きのできない若者の雇用を生み出すために、製造技術を向上させる必要がある。
また、中国での人件費上昇をうまく利用したいとも思っている。
企業がより賃金の安い代替地を求めているからだ。
だが、タイヤ工場を訪問すると、インドネシアがこの先の課題に対処するのがいかに難しいかがよく分かる。
■大規模な自動車産業を生み出す難しさ
マルチストラダが1日に数万本のタイヤ、毎年合計で600万本の二輪車用タイヤと1000万本の自動車用タイヤを生産しているチカランの工場に行くためには、インドネシアの首都ジャカルタからほぼ3時間かかる。
インドネシアは、国内市場の大きさをテコとして利用し、大規模な自動車産業を生み出す計画だ。
最終的な目標は、東南アジアの自動車生産の中心地タイや、ベトナムのようなこの地域の他の潜在的ライバル国と戦うことだ。
だが、このような野心の前には大きな障害が立ちはだかる。
インドネシアの工場はどこも気が遠くなるようなインフラ不足に直面している。
インドネシアは、資本が安かった時に、インフラの準備を整えるためにもっと多くのことをしておくべきだった。
だが、しなかった。
工業地帯にあるマルチストラダの工場からジャカルタの港まで何時間もかけてトラックが絶えず往復しており、その港から欧米諸国、さらには日本にもタイヤが輸出される。
列車でタイヤを輸送する方がはるかに効率的だが、インドネシアには機能する鉄道が不足している。
インドでさえ、ジャワよりましな鉄道網を持っている。
次に問題になるのは労働力だ。
工場の掲示板には、労働者の家族の写真や、安全に気をつけるようにという親戚からの伝言が張り出されている。
だが、工場の労働者には字の読めない人がいるため、これらの伝言の多くは読まれないままになっている。
資材をあちこち移動させたり、つなぎ合わせたりするために、彼らはパンチカードを使って穴をうまく一致させなければならない。
インドネシアは、中国の労働者と競争できるようにしておかなければならない。
中国人労働者の賃金は上昇しているものの、生産性はまだインドネシアの労働者を大きく上回る。
一方、インドネシアの労働者は今年、昨年の10~15%の賃上げに続き基本給の30%引き上げを認められたが、生産性の向上は賃上げのスピードに全く追いついていない。
金融面でも大きな課題があり、金融危機から得たいくつかの教訓が国民の記憶から薄れていることを示唆している。
■ドル建ての借り入れが再び増加
CLSAのデータによると、銀行信用は過去3年間、年率24%のペースで増加してきたが、名目国内総生産(GDP)の伸び率は13%だった。
預貸率は縮小している。
だが、もっと心配なのは、最近のドル高を予測することなく、インドネシア企業が(東南アジアの他の企業のように)再びドルで借り入れを行ってきたことだ。
こうした借り入れの大半はヘッジされていないと銀行関係者は言う。
前回インドネシアが直面した問題の大きな部分だった通貨のミスマッチである。
債券の発行だけで昨年は100億ドル、今年はこれまでに60億ドルに達している。
今後、債権者の方が借り手よりも記憶力がいいことが明らかになるかどうか、興味深いところだ。
By Henny Sender
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JB Press 2013.08.01(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38363
インドネシアの若者の間で日本語学習が大人気
(2013年7月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
リクホ・シヌラトさんはインドネシアの高校で日本語を学んだ。
「ドラゴンボール」「ONE PIECE」といったベストセラー漫画のファンだったからだが、大学進学後も勉強を続けたのは、もっと平凡な理由からだった。
「大学ではフランス語をやりたかったんです。
ところが両親から、インドネシアには日本の企業の方がはるかに多く進出していると言われ、それで日本語に変えたんです」。
そう語る23歳のシヌラトさんは現在、日本のニッケルメーカー、大平洋金属のジャカルタ事務所で働いている。
■日本語を学ぶ高校生の数は世界一
日本の若者文化の人気、そして日本企業による投資の回復を背景に、インドネシアでは日本語を学ぶ若者の数が記録的な水準に増えている。
政府系の文化振興団体、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)によれば、日本語を勉強する高校生の数でインドネシアの右に出る国はない。
また、日本語学習者の総数はここ6年間で3倍以上に増加し、
現在では87万2000人に達している。
こちらは中国に次ぐ第2位だ。
この劇的な変化には、イスラム教国の中では最も人口が多いインドネシアのための教科書作成や教員養成に日本政府が力を入れたことが寄与している。
日本国内の経済成長が鈍化したことを受け、ビジネスや教育の面で東南アジアとのつながりを深めようとしている政府の取り組みの一環だ。
アジアの学生のほとんどはこれまで同様、第1外国語に英語を選択しているが、中国、日本、韓国の3カ国は自国の言語や文化を外国に広めようとますます火花を散らしている。
2億5000万人の人口を擁するインドネシアなど、経済成長の著しい国では特にその傾向が顕著だ。
例えば韓国は「スーパージュニア」をはじめとするKポップのトップスターたちをインドネシアに送り込んだが、日本はこれに重量級の布陣で対抗している。
5年ぶりに行われる大相撲の海外巡業の開催地にジャカルタを選んだのだ。
日本語学習に対する関心は1990年代、日本経済のバブル崩壊後に衰えたが、近年になって人気が再び高まっている。
国際交流基金によれば、海外の日本語学習者の数は2009年から2012年にかけて9%増加し、400万人に達している。
■経済的にも重要な「ソフトパワー」競争
しかし、中国が世界経済の新しい成長エンジンとして台頭してきたことを背景に、日本語は人気の面で中国語にあっという間に追い抜かれた。
中国の孔子学院によれば、北京語(標準中国語)の外国人学習者は約5000万人いるという。
この「ソフトパワー」競争が経済の面で重要であることを浮き彫りにして見せたのは、いわゆる「韓流」の成功だった。
韓国の音楽やテレビ番組がアジア諸国にファンを得たことは、化粧品などほかの産業の輸出増にも寄与している。
「国家ブランディングは、我が国の製品の販売を促進するうえで非常に重要だ」。
国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの小川忠所長はこう語る。
「韓国は大変な成功を収めているし、我々は英国の『クール・ブリタニア』キャンペーンにも学んでいる」
世界各地の企業が新興国市場への進出に力を入れる中、日本企業は――トヨタ自動車、スズキといった自動車メーカーからユニクロ、イオンといった小売業者に至るまで――インドネシアでの事業を拡大しており、今年の上半期だけで23億ドルを投資している。
インドネシア投資調整庁によれば、これは前年同期実績の2倍を超える規模だ。
また小川氏によれば、日本語学習者がインドネシアで増加基調に乗ったのは、2006年に同国の教育カリキュラムが改定され、多くの高校で第2外国語を学べるようになってからのことだという。
しかし、インドネシアの人々が日本語を学ぼうとする最大の動機付けは日本の漫画やアニメの魅力であり、日本企業で働きたいという願望だと小川氏は付け加えている。
■日本から労働倫理や科学技術も学びたい
シヌラトさんのクラスメートだったイルハム・ファリアルさんも日本の商社、槌屋に職を得た。
2人とも、日本語は難しい言語であり、まだ流暢と言えるレベルにはほど遠いと話しているが、日本語の学位がなかったらこの仕事には就けなかっただろうと口をそろえる。
またファリアルさんは、長期的な話ではあるがインドネシア人は日本語を学ぶことにより、単に就職できるとかアニメがもっと理解できるようになるといったことだけでなく、もっといろいろなものを手に入れられると考えている。
「インドネシア人が日本から労働倫理や時間管理、科学技術についても学べたらいいな、と思っています」
とファリアルさんは話している。
Ben Bland in Jakarta
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jiji.com (2013/08/02-19:02)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013080200908
インドネシア経済が鈍化=成長、踊り場局面に
【ジャカルタ時事】2億4000万の人口を抱え、東南アジアで最大規模を誇るインドネシアの経済が鈍化傾向にある。
2日発表された今年第2四半期(4~6月)の実質GDP(国内総生産)伸び率は前年同期比5.81%で、第1四半期の同6.02%から減速。
6%割れは2010年以来となった。
旺盛な内需を背景に堅調な成長を続け、日系企業の進出も相次いでいるが、成長は踊り場を迎えている。
成長鈍化の一因は輸出の低迷だ。
6月の貿易収支は約8億4700万ドルの赤字で、赤字は3カ月連続となった。
主要な貿易相手国である中国の景気減速を受け、石油・ガスなどの取引が不振となっている。
また、進行する通貨ルピア安も「輸入物価の高騰をもたらしている」(邦銀関係者)という。
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[減速する成長、そして増強される軍備]
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