2013年7月20日土曜日

中国経済の減速が米国企業の重しとなり始めている:成長率5%は何時?

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IB Times 2013年7月19日 19時47分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/46860/20130719/1374230821.htm

焦点:中国経済が米企業業績の重しに、中間層の拡大に期待も

 中国経済の減速が米国企業の重しとなり始めている。
 米大手企業の中国売上高比率は近年、急上昇しているが、かつて2桁成長を誇った中国経済は7.5%成長に減速。
 過剰与信や住宅バブルに対する懸念も浮上している。

 外食大手のヤム・ブランズ(YUM.N)、半導体大手のインテル(INTC.O)など、中国売上高比率が高いS&P500採用企業18社中、12社は年初来の株価騰落率がS&P総合500種指数.INXを下回っている。

 ニューエッジの市場戦略担当ディレクター、ロバート・バン・バテンバーグ氏は
 「米国企業の中国売上高比率は近年、大幅に増えており、中国の影響が年々大きくなっている」
と指摘。

 メリルリンチのファンドマネジャー調査でも、中国経済のハードランディングに対する懸念などを背景に、新興国株式への投資配分が約12年ぶりの水準に低下している。

 米国では、工業、高級品、商品(コモディティー)、消費財分野の企業で、中国売上高比率が大きく伸びている。

 17日には著名ヘッジファンドマネジャーのジム・チェイノス氏が、建機大手キャタピラー(CAT.N)の株式を空売りしていると表明。
 同社株が下落した。
 同氏は以前から、中国経済が崩壊に向かっているとの認識を示している。
 キャタピラーは、売上高の約25%をアジア・太平洋地域に依存している。

■<厳しい見通し>

 ケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営するヤム・ブランズが先週発表した四半期決算は15%の減益。
 KFCの中国販売が昨年12月以降、落ち込んでいることが響いた。
 ヤム・ブランズの中国売上高比率は51%と、2010年の34%から急上昇している。

 インテルの中国売上高比率は16%。同社もパソコン販売の低迷と中国の景気減速に対応するため、通期の売上高予想を下方修正。
 設備投資の縮小も決めた。

 半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)(AMD.N)の中国売上高比率は58%に達する。
 2010年時点は45%。
 四半期決算の1株損益は0.09ドルの赤字だったが、プレスリリースで中国への言及はなかった。

 ソシエテ・ジェネラルは、
 中国の経済成長率が2020年までに「4─5%に低下」する可能性がある
との見方を示している。

■<中間層に照準>

 中国政府は、現在人口の40─41%を占める中間層を2020年までに45%程度に拡大する計画を掲げており、一部のアナリストは、企業がこうした中間層をターゲットにすれば、中国売上高は着実に伸びると予想している。

 ウィリアム・ブレア(ニューヨーク)のアナリスト、ニコラス・ヘイマン氏は、複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX.N)傘下のオーチス・エレベーターが、中国で順調に事業を拡大していると指摘。
 中国ではエレベーターの需要が供給を上回っているという。

 飲料メーカーも、拡大する中間層に期待を寄せている。

 コカコーラ(KO.N)のムーター・ケント最高経営責任者(CEO)は今週、
 「中国の長期見通しに非常に強気だ
と発言。
 中国は巨大消費市場であり、新たな中間層の勢いはすさまじいとの見方を示した。

 ただ、欧州経済の低迷が長引き、米国内の景気回復の足取りも重い中で、中国経済が減速しているのは、企業にとって痛手だ。

 調査会社ランゲンバーグ(シカゴ)の創業者ブライアン・ランゲンバーグ氏は
 「中国は、工業分野のあらゆる企業に影響を及ぼす。
 機械メーカーは、総じて景気に敏感であり、不安定で、負債比率が高くなる傾向がある」
と指摘。

 「キャタピラーは、在庫が適切な水準に戻りつつあると言うかもしれないが、株価の見通しは、中国の潜在的な成長率をどう予想するかに左右される」
と述べた。
 キャタピラーはすでに通期の業績予想を下方修正。
 来週、新たな予想を示す可能性もあるが、鉱山向けのトラック、ローダーの売上高が50%減少するとの見通しを示している。

 ノースウエスタン・バンク(ミシガン州)のバイスプレジデント、ペリー・アダムズ氏は
 「インフラ分野、建機のキャタピラー、ジョイ・グローバルなどが打撃を受けている。
 他の企業に波及する可能性もあるだろう。この四半期は、そうした傾向が表面化するのではないか」
と述べた。




減速する成長、そして増強される軍備


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