●世界経済の一大リスクは「中国の成長鈍化」であることが鮮明になりつつある。
日本は異次元の金融緩和を主軸とした「アベノミクス」を推進中だが、中国経済の変調はその行方にも甚大な影響を及ぼす。写真は北京市の地下鉄工事現場。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年7月12日 6時30分
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<コラム・巨象を探る>
中国経済の変調が世界の一大リスクに―アベノミクスにも大打撃
世界経済の一大リスクは「中国の成長鈍化」であることが鮮明になりつつある。
日本は異次元の金融緩和を主軸とした「アベノミクス」を推進中だが、中国経済はその行方にも甚大な影響を及ぼす。
国際通貨基金(IMF)は7月発表の世界経済見通しで、2013年の世界経済の成長率見通しを下方修正した。
ユーロ圏の景気後退に加え新興国の減速が響き、今年の成長率は3.1%と、4月時点の予想より0.2ポイント鈍化している。
特に08年の金融危機(リーマンショック)後の世界経済をけん引してきた新興・途上国は全体で5.0%と4月予想から0.3ポイントの下方修正。
IMFは「主要新興国の内需は明らかに弱まり、成長が鈍っている」と危機感を表明している。
▽シャドーバンキングの闇
このうち、新興国の代表格・中国は7.8%と0.3ポイントの下方修正。
内需の停滞に加え「影の銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれるノンバンクなどの簿外運用問題で、一部金融機関の破綻懸念が表面化した。
シャドーバンキングとは正規の銀行以外の組織や個人が高金利で資金を貸し付ける行為の総称。
地方政府系の投資会社を通じて地方政府に流れた資金は主にインフラ投資に集中する。
不動産バブルの誘因になりやすく、不良債権化する恐れも取り沙汰されている。
中国人民銀行はシャドーバンキングによる余剰資金の是正に動いており、融資が受けられなくなった企業の経営不安も懸念されている。
中国は内外需要の低迷と過剰な投資に直面、安定成長軌道への軟着陸に向け高い壁が立ちはだかっている。
中国経済の主要けん引役である輸出は、最大の貿易相手である欧州の景気後退など世界経済の低迷を受けて失速。
4月まで前年同月比で2けたの伸びだったが、6月に3.1%減とマイナスに転じた。
東南アジアや米国向けの輸出増を目指すものの、先行きも楽観できない。
外需の不振は国内にも跳ね返る。
鉄鋼や造船など生産能力の過剰を抱える製造業は輸出増を見込んで生産した製品が売れず、在庫が積み上がっている。
生産の低迷や製品価格の下落による企業業績の悪化で家計の所得も頭打ちの状態。
さらに習近平国家主席が主導する「倹約令」も消費にはマイナスに作用している。
それでも6月の新車販売台数は前年同月比11.2%増の175万4100台。
内陸部にもモータリゼーションが広がり、個人消費は意外に底堅い。
ところが、過剰な投資資金を背景に不動産市場で住宅バブルの懸念がくすぶっているため、中国政府は安易に金融緩和などの景気刺激に動けない。
景気刺激のために国有企業の設備投資を増強しても、供給過剰が深刻化してしまうジレンマにも直面する。
ただ、交通、水利・環境、社会福祉関連といった公共インフラ投資は高い伸びが続いているため、経済成長の下支えになっている。
中国景気の変調は他の新興国を含む世界経済を揺るがす。
中国と貿易面でのつながりが深い周辺国の景気にマイナスの圧力がかかる。
インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム5カ国の13年IMF成長見通しも、0.3ポイント下方修正され、5.6%となった。
景気後退に見舞われるユーロ圏は一段と厳しさを増している。
13年はドイツの成長率見通しが0.3%へ下げられたほか、フランス、イタリアでもマイナス幅が拡大した。
▽日本の対中輸出、14%減
各国の成長率見通しが軒並み引き下げられた中で、日本は大規模な金融緩和により「市場の安心感と民需が増した」と評価、当初見通しの0.5%から2%成長に上方修正した。
ところがIMFによると、日本の14年の成長率は1.2 %に減速するとの見方をIMFは示している。
13年の高成長は2月に成立した総額10兆円規模の経済対策と、来年4月の消費増税を控えた駆け込み需要で膨らんでいる面は否めない。
目下、日本経済は回復基調にあるものの、消費増税後は再び低い成長率にとどまるとの見通し。
少子高齢下の日本経済は海外需要に依存せざるを得ないが、中国をはじめとする世界各国の成長鈍化や米国の金融緩和縮小もマイナス要因となる。
中国は日本にとって最大の貿易相手国で貿易総額は毎年3000億ドル規模(約30兆円)に達するが、今年1~6月の対中輸出額は前年同期比で13.6%も減少した。
大胆な財政出動や経済成長戦略、さらには消費増税の先送りなどが打ち出されない限り、日本にとって来年は極めて厳しい年になりそうだ。
もちろん、中国にとっても、景気対策に加え所得格差の縮小、産業競争力の強化、汚職・腐敗の是正といった「待ったなし」の課題が待ち受けている。
中国のような中進国(1人当たりGDPが年1万ドル程度まで)で、これら高いハードル(罠)をクリアできずに先進国になれない国は数多い。
アジアで首尾よく先進国の仲間入りを果たした国・地域は、日本以外ではシンガポール、韓国、台湾、香港だけ。
インドネシア、タイ、フィリピンなどは先進国への移行に失敗した経緯がある。
中国が「中進国の罠」に落ち込む懸念も大きいと言わざるを得ない。
習・李政権は多くの関係組織を総動員し、経済成長を多少抑えても所得格差是正、国有企業民営化、汚職・腐敗の解消、情報統制の緩和、政治改革(民主化)など最優先政策課題に取り組む方針だ。
富裕層、既得権益層の抵抗が強く、実行は至難の業。深刻度を増す公害など社会的な歪は増大する一方で、国民の不満は高まっている。
これらの課題をクリアできなければ、中間層が拡大せず、消費が伸び悩む。企業経営の効率化が阻害され、企業の採算性も悪化する。
さらには企業の国際競争力が低下し、貿易赤字国に転落。その結果、経済成長率が低下してしまうだろう。
<「コラム・巨象を探る」その29>
<「コラム・巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事。近著に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)がある>
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「中国がヤバイ」というのは前から言われてきた。
しかし、OECDなど西欧機関は中国は不滅艦のごときアピールをしてきた。
数値に表れるものを頼りにそのグラフの先の中国を予想していた。
ちょうどバブル崩壊前の日本の調査機関と同じようであった。
というより、西欧の調査機関は中国のヤバさは分かっていながら、
意図的に中国をヨイショしていた節がある。
危険を分かっていて、中国への投資を煽っていた、
冷静にみるとそんな雰囲気であった。
うかうかとそれにのせられて動いた企業も多い。
ところが、今年に入って一点、メデイアならびに調査機関の発表は、
「中国、危うし」色に染まってしまった。
理由はは種々の経済数値が下落しつつあるからである。
しかし、数値に表れてくるというのは後期の症状である。
数値が落ち込み始めたら、もうそれは止まらない。
なぜなら、大本の経済数値の基本はウエーブを描くものであるからである。
時に短期的な上下はあっても、ながいスパンでみると必ずといっていいほどウエーブを描いている。
いまそのカーブが上向きから下向きに入った、ということである。
日本はありがたいことに、少なくとも1年前には「中国ヤバシ」の状況を身体で感じていた。
あの尖閣デモである。
あれで、のほほんとしていた企業があったら、そんな企業は今後、存続するに値しないほどのリスク管理のできない企業であろう。
潰れてもいい会社である。
前々から中国ヤバシのウワサは飛び交っていたが、このデモは決定的なを契機を日本にもたらした。
これをキッカケに中国に出るもよし、中国から撤退するもよし、それは企業の種類によって異なってくる。
おおまかに言えば第二次産業、つまり生産業は撤退が基本で、第三次産業はつまり小売運輸業やサービス業は消費市場を狙って進出となるであろう。
日本経済はこれまで知らぬ間に大きく中国に頼ってきた節がある。
貿易の20%以上を中国が占めている。
しかし、尖閣を契機にこれは危険だ、とばかりにその比率を大幅に減らし、
中国に頼らない日本経済
に舵を切りつはじめたことは確かである。
中国の比率を15%くらいに落とした形での予想図で日本は動いている。
つまり、中国離れを実行し、中国の経済低下の影響を受けない構造作りに邁進しているのが今の日本とみていい。
果たして、それが成功するか、失敗するかはわからない。
ただ、周囲より尖閣という問題が起こったために、
一歩早く中国離れの姿勢に入れたことは幸運だった
といえるだろう。
まだまだ中国は独裁という豪腕で切り抜けていくことができる。
よって、今すぐどうということはないだろう。
問題はその豪腕を「これ以上行使してもいいのか」、という不安点に達したときである。
それはおそらく2015年あたりから表面化していくだろう。
中国に出るか、下がるかかは企業の判断であるが、
残された時間は来年いっぱいである。
それまでに動作終了していないといけない。
ずるずるしているとババをつかむ恐れがある。
この辺のところは、日本のバブルの波を経験してきた企業には、さほどに難しいことではないだろう。
ちなみに言うと、中国の影響を一番大きく受ける国は韓国とベトナム。
この国の中国輸出はGDPの15%--17%に達する。
韓国がなりふり構わず中国にすり寄るのはこのためである。
また、ベトナムが中国を表面上で支持しつつ、周囲の状況を計算しているのはこういうことによる。
インドネシアやフィリッピンへの影響は微弱である。
ヨーロッパならドイツがきつい。
先のユーロ危機で一番強かったのはドイツ。
なぜなら、中国市場をバックにもっていたから。
イタリアなどは逆に中国に荒らされて危機に陥ってしまった方である。
よって、中国の衰退によって影響を受けるのはドイツが一番で、イタリアなどは軽微になるということになる。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年7月10日 8時10分
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中国経済が直面する「30年目の危機」―米華字紙
●8日、米華字紙はこのほど、「中国経済が直面する『30年目の危機』」と題した記事を掲載した。資料写真。
30年の長きにわたって疾風怒濤の成長を遂げた中国経済は、2013年に転換期を迎えた。
中国の経済成長率は今後8%以下になるとみられる。
世界の経済大国と呼ばれた国々の成長過程を見ると、中国のように30年間も経済成長を続けた国は少ない。
2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟して以来、中国は国際自由貿易の恩恵を享受してきた。
2009年には中国は世界一の輸出大国となり、輸出は中国経済の高速成長を支える重要な力であった。
しかし世界経済が現在のように低迷を続けている状況下では、
中国の輸出攻勢は国際社会の保護貿易主義という反撃に遭い、
安値での商品輸出は中国国内の環境を悪化させ、
エネルギー資源問題は日増しに深刻化している。
中国経済は今、さまざまなストレスにさらされている。
だからといって中国経済が欧米諸国のように必ず停滞局面を迎え、最終的には崩壊するという意味では決してない。
なぜなら中国は発達した経済体と言えるにはまだほど遠いからだ。
中国の都市化率はいまだに50%ほどであり、中国の都市建設や産業レベル、教育水準、環境保護、西部地域の貧困対策、文化生活などの分野には改善の余地が多々ある。
一般的な中国人の生活レベルは欧米の先進国レベルには達していないが、それは同時に経済発展の潜在的パワーが隠れていることを意味する。
ただし、中国経済が健全に発展するためには、経済成長方式に大胆な調整を行うことが必要不可欠だ。
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[減速する成長、そして増強される軍備]
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