2013年7月31日水曜日

尖閣攻撃なら「日米安保で対処」:これで中国は尖閣問題をスルーできる

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●上院に提出された「対中非難」決議案。中国側は反発を強めている


J-Cast ニュース 2013/7/30 19:27
http://www.j-cast.com/2013/07/30180469.html

「米国、尖閣で手のひら返した!」 
中国、上院「非難決議」に反発

    「米上院が公然と『手のひら返し』を行った!」
    「『尖閣諸島』決議案、まさかの全会一致で通過」

   米上院が2013年7月29日可決した「対中非難決議」に、中国側はいらだちを隠せない様子だ。
 尖閣諸島などでの中国の行動に「釘を刺す」この決議案が提出された6月以来、中国メディアやネットなどでは、米国の出方を警戒する記事がたびたび掲載されている。

■レーダー照射事件や尖閣海域侵入など批判

   決議案は2013年6月10日、民主党のメネンデス外交委員長ら超党派議員により提出されたもので、6月25日に外交委員会で、そして今回29日に本会議で、いずれも全会一致で可決された。
 沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海や南シナ海での中国の「威嚇行為」を非難し、全ての当事国に平和的な解決を求める内容だ。

   決議では、アジア太平洋地域の安定が、米国の国益に直結するとの立場から、すべての当事国に対し問題の平和的解決を求めている。
 特に念頭にあるのは中国で、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海で活発な活動を繰り広げていることを指摘、また「地域の緊張を一段と高める」具体的な事例として、2013年1月に起こった海上自衛隊艦船への「レーダー照射」事件、尖閣諸島周辺での中国艦船・戦闘機による威嚇行為、このほかベトナム・フィリピンとの間の領土問題などが挙げられた。
 表面的には日本を含む関係各国に向けた内容だが、事実上中国を狙い撃ちにする形で自重・自制を促すものと言っていい。

   決議案提出直前の6月7~8日には、米中両首脳が会談を行ったばかり。
 この会談では尖閣問題も議論に上り、習近平主席が「国家主権と領土の統一を断固として守る」と主張したのに対し、オバマ大統領は挑発的な行動を避け、対話を通じての解決を図るよう求めた。
 今回の上院決議は、中国側の「実力行使」を認めないという米国側としての姿勢を改めて示すものと見られる。

■「米国は尖閣で漁夫の利を狙っている…」

   当然、中国としては面白くない。
 決議案の内容が明らかになって以降、中国メディアは米国に対する警戒心も露わな記事をたびたび掲載している。

   たとえば中国の国営通信社・中新社は7月30日、日本の報道などを引用しながら、
 「アメリカ上院は事実を顧みず、中国を批判した」
などと報じ、「レーダー照射事件」などに関する中国側の反論を掲載、

    「米国は日本の尖閣横領を後押しするとともに、
 中国を封じ込める子分として利用している

と、露骨な不快感を示した。
 作家・言語学者の関愚謙も27日、米国側の尖閣諸島をめぐる動きを指して、米国は日中に紛争を起こすことで「漁夫の利」を得ようと目論んでいるとの論を発表している。
 米国の日本寄りの姿勢に対する、中国側の不満がにじみ出た形だ。

   一方、嬉しいのは日本だ。菅義偉官房長官は30日の会見で、

    「海洋における力による現状変更を非難するとともに、日米安全保障条約に対する米国の力強いコミットメントを米上院として表明するものになっているということで、我が国としてはその内容を高く評価したいと思っています」

と話し、積極的に歓迎する意向を示した。


朝日新聞デジタル 2013年7月30日21時47分
http://www.asahi.com/international/update/0730/TKY201307300395.html

尖閣攻撃なら「日米安保で対処」 米上院決議改めて明記

 【ワシントン=大島隆】米上院は29日、尖閣諸島を巡る日中対立や南シナ海の領有権問題を巡り、中国を念頭に、現状変更を目的とした強制的な行動や威嚇を非難する決議を採択した。

 決議は、すべての関係国が地域の安定を損なう行為を自制し、平和的な解決をするよう求めた。

 また、尖閣諸島は日本の施政下にあり、武力攻撃があった場合は、日米安保条約に基づいて対処するとの米政府の立場を改めて明記。
 中国軍艦のレーダー照射や今年4月に中国の海洋監視船8隻が領内に侵入したことを挙げて「緊張をさらに高めた」と批判した。


 ホッツっと胸を撫ぜ下ろしているのは中国であろう。
 これで尖閣問題はスルーできる。
 すなわち言い訳ができた。
 建前上は中国の領土の主張ができ、領海領空への侵犯を犯すこともできる。
 でも尖閣奪回をする必要がなくなった。
 「尖閣を奪回したいが、アメリカがいる」
というのはまさに絶好の言い訳である。
 これで、国民へのメンツがたつ、というわけである。
 外交というのはそういうものであろう。
 内容的には
 米中会談以前から、アメリカは尖閣諸島は日本の施政権下にあることを明言
しており、それをトレースしただけのことで、新味のあるものではない。
 ただ、中国がもしかしたら、アメリカが中国に親切心を出してくれるかもしれないという、淡い期待をいだいていただけのことにすぎない。
 勝手な幻想をいだいて、それが幻想とわかると汚い言葉で突っかかってくるというのが中国のこれまでのいつもの作法であるが、今回もそれと同じである。
 というより、意図的にメデイアを操作したともいえる。
 これは内政への政治的配慮でもある。
 外交ではない。


サーチナニュース  2013/07/31(水) 19:46
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0731&f=politics_0731_005.shtml

米国「中国は尖閣諸島で武力行使」 中国「不当な非難」と反論

  米上院は29日の本会議で、「中国は領有権の現状変更を狙って尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺および南シナ海で威嚇や武力行使をしている」と非難する決議案を可決した。
 中国網日本語版(チャイナネット)は31日、「史実顧みない不当な非難だ」と反論した。
 以下は同記事より。

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  報道によると、同決議案は、民主党所属の上院外交委員会のメネンデス委員長などの議員によって提出された。
 2013年初めに日本側が「中国軍艦は日本の艦艇に向かってレーダー照射した」と主張したことなどを例に挙げ、周辺海域の緊張状態は高まっていると指摘したうえで、アジア太平洋地域の航行の自由は米国の国家利益にかかわると主張した。

  一方、レーダー照射事件に関して、中国国防部は、日本側の主張は事実と異なり、日本側は中国の軍隊の顔をつぶし、国際社会を誤った方向に導こうという別の企みを持っていると何度も表明した。
 また、中国側は、日本側による長期にわたる中国側の艦艇と航空機を近距離で追跡、監視、妨害し、安全を脅かす行為は、日中の海空の安全保障問題を引き起こし、中国側はその十分な証拠を得ていると強調した。

  さらに、米上院の決議は、米国は尖閣諸島が日本の管理下にあると考えており、この認識が第三者の一方的な行動で変えることはできないと主張したうえで、「日米安全保障条約」に基づいて「すべての武力攻撃」に対処していく考えを示した。

  中国外交部は、
 「釣魚島およびその付属島嶼は古来より中国固有の領土であり、中国はこれに対して争う余地のない主権を有している。
 日米安全保障条約は冷戦時代の産物であり、日米二国間の範疇を超えたり、第三者の利益を損なったりすべきではない」
と主張した。





減速する成長、そして増強される軍備


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