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JB Press 2013.08.22(木) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38511
中国経済:悲観論のバブル
(英エコノミスト誌 2013年8月17日号)
中国経済は非効率的だが、不安定ではない。
「ほんの少し前、我々は中国人のことを恐れていた」。
ポール・クルーグマン氏は最近、米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿でこう述べた。
「今は中国人のために心配している」。
同氏をはじめとする多くの著名評論家は、世界第2の規模を誇る中国経済に危機が訪れるのではないかと気に懸けている。
こうした評論家の懸念は、3つの指標に要約されているようだ。
まず、経済成長率が以前の2ケタペースから7.5%に鈍化している。
投資比率は依然として持続不能な高水準にあり、国内総生産(GDP)の48%を超えている。
それと同時に、負債比率(中国の企業、家計、政府の借金の総額)が危険なほど上昇しており、一部にはGDP比200%に達するという試算もある。
■減速が鮮明な中国経済
経済成長率に関する懸念は、8月に入り若干和らいだ。
貿易、さらには鉱工業生産(7月の値は前年同月比で9.7%増だった、図参照)について力強い数字が発表されたためだ。
だが、景気循環によるアップダウンはあるものの、中国の勢いが減速していることは疑いようがない。
インフレを起こさずに成長できる経済成長スピードの上限を定めているのは、中国の労働者、資本、ノウハウを合わせた複合的な生産能力だ。
また、この生産能力により、余剰生産能力の発生と失業者の増加を避けるために必要な成長速度も決まってくる。
最新の数字によれば、持続可能な成長速度は、中国経済が猛進していたころの10%というペースよりも、現在の値である7.5%に近い。
多くのエコノミストにとって、こうした構造的な減速は必然的かつ歓迎すべきものだ。
この減速は中国の成長モデルの進化を示すもので、同国は先進国との技術格差を縮め、これまでよりも多くのリソースをサービス分野に投じつつある。
だがクルーグマン氏は対照的に、この減速が中国の成長モデルを滅ぼしかねないと考えている。
■クルーグマン氏の主張は正しいのか?
クルーグマン氏によれば、中国は「余剰農民」を使い尽くしてしまったという。
これまでは、地方から工場や都市への労働者の大量流入により、賃金が低く抑えられ、投資収益率が高く保たれてきた。
この流入が減速し、一部では逆流も始まっている。
従って、中国はもはや、単に農村から出てくる新たな労働者に資本を割り当てるだけでは、成長を維持できなくなっているというのだ。
「資本拡張」から「資本深化」(労働者1人につき投下する資本を増やすこと)への移行はもはや不可避だ。
これに伴い、投資から得られる「リターンが急激に減少」し、投資自体が「著しく減少」する。
そして、投資は需要の大きな源(ほぼ半分を占めている)であるため、これほどの落ち込みを埋め合わせるのは不可能だ。
中国はまさに「グレートウォール」にぶつかることになるだろうというのが、クルーグマン氏の主張だ(この比喩は宇宙からも見えるほど一目瞭然だ)。
問題は、クルーグマン氏の懸念に正当な根拠があるかどうかだ。
中国が「余剰」労働力を使い果たしつつあるという点で、同氏は正しい。
中国の農村部はもはや人々がやすやすと都市へ出て行けるほど人口過剰ではない。
今では労働者が都市へ流れると、彼らがあとにしてきた農村部で労働市場の競争が激化し、賃金が上昇する。
人々を農村から誘い出すためには、流出先の都市でも賃金を上げなければならない。
しかし、中国社会科学院の蔡昉氏によれば、農村部の余剰労働力は、2003年には既に使い尽くされていたという。
中国経済が壁にぶつかるというのなら、10年前にはもうぶつかっていたはずだ。
実際には、中国経済はそれ以降、目覚ましい成長を遂げた。
かなり以前から、農村部から工業地域やサービス分野への労働者の移動は、中国の成長の主要な原動力ではなくなっている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのルイス・クース氏によれば、1995年から2012年にかけての中国の成長率のうち、労働者の移動が寄与した部分は、パーセンテージにして年平均1.4ポイントほどだったという。
最近の成長の原動力となっているのは、既に産業内にいる労働者の生産性向上であり、新規労働者の流入ではない。
中国はもうクルーグマン氏が「滅びる」と懸念するモデルから脱却しているのだ。
■著しい非効率を招く投資率の高さ
クルーグマン氏や北京大学のマイケル・ペティス氏をはじめとする著名評論家が中国の投資率の高さを批判しているのは、確かに正しい。
というのも、そうした投資率の高さが著しい非効率を招いているからだ。
投資とはそもそも、国内の消費者や輸出市場の需要に応じて、その国の生産能力を拡大するためのものだ。
だが中国では、投資支出の多くが無駄に消えているとクルーグマン氏は指摘する。
生産能力の増強が、生産能力の増強それ自体を目的に行われているというのだ。
だが、過剰投資は、自由な選択肢のない預金者に依拠するシステムのおかげで、今のところ不安定な状況の原因にはなっていない。
中国政府が預金金利に上限を設けているため、銀行は預金者に十分な金利を支払わずに済み、安い金利で法人の借り手に融資している。
これは実質的に、家計の預金に税金を課し、国有企業に補助金を出しているようなものだ。
国際通貨基金(IMF)の李一衡氏らがまとめた2012年の報告書によれば、こうした家計から大口の借り手への資金の移動は、2001年から2011年の間に1年当たりでGDP比4%に達したという。
この事実上の補助金のおかげで、大企業はこれがなければ実行不可能なはずの事業計画に投資できる。
報告書の著者は、中国の投資率は本来、現在の48%よりも40%に近い数字のはずだと指摘している。
だが、そうした歪みは、預金者が資金を提供し続ける限りは持続可能だ。
そして、中国が国外への資本流出を規制していることを考えれば、預金者に選択の余地はほとんどない。
中国が投資率を下げる必要があるのは明らかだ。
だが、クルーグマン氏などの評論家は、投資率の低下は恐慌を誘発しかねないと主張している。
彼らの懸念は、経済は成長と破綻の間で際どいバランスを取っているとする、ロイ・ハロッドとエブセイ・ドーマーが提唱した70年前のモデルをなぞるものだ。
■経済において投資が果たす二重の役割
このモデルの認識では、投資は経済において二重の役割を果たしている。
すなわち、英フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフ氏の言葉を借りれば、「生産能力増強の源」と「需要の源」としての役割だ。
この2つの役割は、時に相矛盾する形で作用する。
成長が鈍化すれば、それほど生産能力を増やす必要はなくなる。
これにより投資が減少する。
だが、投資支出は需要の源でもあるため、投資が減少すれば、需要も減少し、成長がさらに減速する。
生産能力が過剰になる事態を避けようとする行為が、結果的にはさらなる生産能力のだぶつきを招くということだ。
だが、このモデルはどれほど中国に当てはまるだろうか?
中国は世界最高水準の投資率と世界で最も安定した成長率の両方を維持している。
それは恐らく、投資の一部が政府の主導により行われているからだろう。
政府は他の需要源が弱まっている時に資本支出を増やすし、その逆も同様だ。
中国の国有企業と地方政府の投資事業体が投資資本を割り当てる対象は、必ずしも適切ではないかもしれない。
だが、少なくとも資本を動かすタイミングは適切だ。
実際のところ、中国の投資の効率の悪さこそ、著しい不安定状態の発生を阻む一因かもしれない。
李氏らの報告書では、これまでと同様の成長率を維持するためには、中国は今後、投資率をさらに高める必要があると指摘している(エコノミストの言葉を使うなら、中国の限界資本係数が上昇しているということ)。
だが当然の帰結は、同じペースの投資は低下する中国の成長率と合致するということだ。
悲観論者が懸念しているのは、成長の減速に伴い、生産能力増強に関わる投資の必要性が低下し、ひいては需要が押し下げられることだ。
しかし、成長減速の理由が投資効率の低下によるものとするなら、まさに同額の投資で得られる成果が少なくなるため、成長が減速しても同じだけの投資が必要になる。
中国の投資率の高さを批判する人たちは、投資が生み出す余剰生産能力だけでなく、投資のあとに残る負債についても心配している。
中国は、国全体としては倹約的だ。
同国の貯蓄率は投資率よりもさらに高い。
だが、預金者と投資家は、常に同じというわけではない。
両者の間に入っているのが、中国の金融システムだ。
このシステムが、膨大な額の資金を預金者から投資家へと移転している。
ゴールドマン・サックスによれば、中国企業の債務は昨年、GDPの142%に達したという。
さらに、地方政府が出資する投資事業体もGDP比22.5%に相当する債務を抱えている(図参照)。
正確な推定は不可能だが、不良債権は中国のGDPの4分の1に相当する額に達しているかもしれない。
●図
■金融システムの太いパイプ
現在の中国と同様の信用ブームは、2008年の米国の危機や、1990年代初頭の日本のバブル崩壊に先んじて起きている。
従って、中国も同じような運命をたどるのではないかと恐れるのは自然なことだ。
だが、米国や日本の経験を詳細に検証すれば、中国が同じ道をたどる可能性は低いことが分かる。
エコノミストらは、米国の危機を2つの段階に分けて考えることがある。
第1の段階は住宅バブルの崩壊、第2の段階はリーマン・ショックだ。
米国の住宅価格は2006年には既に下落し始め、家計の資産をむしばんでいた。
住宅建設が急激に鈍って成長を圧迫し、建設業界では多くの雇用が消滅した。
だが、その後2年にわたり、米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)は成長への悪影響の大半を埋め合わせできていたし、失業率の上昇スピードも緩やかだった。
状況が一変したのは、リーマン・ブラザーズが破綻し、急激な金融恐慌を引き起こした2008年9月のことだ。
住宅ローンのデフォルト(債務不履行)により生じる損失がどれほどの額になるのか、最終的に誰がその損失をかぶらなければならないのか、誰にも分からなかった。
債権者、株主、マーケットメーカー、トレーダーは、損失が自分の身に降りかからないようにするために、こぞって与信枠をカットし、担保を要求し、証券を処分した。
多くの意味で、このような出口へと殺到する動きが、彼らが逃げようとした危険そのものよりも大きな損害を経済全体に与えることになった。
リーマン・ショック後、それまで管理可能な範囲に収まっていた住宅ローン破綻は、壊滅的な流動性の問題へと発展した。
過去の融資の過ちが、現在の資金供給を麻痺状態に陥れたのだ。
中国も、米国の景気減速の第1段階と同じような状況を経験するかもしれないが、
第2段階は回避できるはずだ。
中国が大規模な金融仲介機関の破綻を許すことはないだろう。
投資家たちも、中国のいわゆる「影の銀行」(シャドーバンキング)システムを支える理財商品を買わなくなるかもしれない。
だが、中国の影の銀行は、かつての米国のそれに比べると、資金源としては規模が小さい。
また、理財商品の購入をやめれば、投資家たちは従来型の銀行預金に戻る可能性が高い。
従って、中国の銀行は米国経済を苦しめたような信用収縮を避けられるはずだ。
さらに、そうした危機が起きた場合にも、中国政府には必要に応じて金融および財政面での刺激策を取る余地が当時の米国と比較しても十分にある。
一部のエコノミストからは、需要を維持するための取り組みが見当違いに終わるのではとの指摘もある。
持続不能なバブル成長が続けば、間違った仕事に就いたままの労働者が増える。彼らを再配置するためには痛みの伴う破綻が不可避になるというわけだ。
■変革と拡大を同時に進める力
だが、構造改革は不況時だけに実施されるものではない。
着実に経済が成長している国でも、水面下では様々な変動が生じている。
そんな中でも労働者は雇用されては解雇され、自らの意志で職を代える。
バブル崩壊が斜陽産業から労働者を押し出し、失業させるのと同じように、経済成長も労働者を下り坂の産業から引き抜き、上り調子の産業へと移動させているのだ。
中国はこれまでにも経済再編を経験している。
過去10年で、農業分野の労働者の占める割合は全体の2分の1からおよそ3分の1に縮小した。
輸出のGDPに占める割合は、2007年には38%だったが、2012年には26%に低下している。
一方で、サービス分野の経済への寄与度が増し、いまや工業と肩を並べるまでになっている。
そして、そうした雇用と生産の大変革は、年間10%前後のペースで成長していた経済で起きたものだ。
どうやら中国経済には、変革と拡大を同時に進める力があるようだ。
© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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ウオールストリートジャーナル 2013年 8月 21日 17:42 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323480904579026190671932128.html
By DINNY MCMAHON
中国で繰り返される銀行と規制当局のいたちごっこ
長い信用拡大後のしわ寄せが生じた中国銀行業界
リスク高まる中国の債券市場
中国の銀行、融資抑制措置を巧みに回避
中国の銀行による金融イノベーションは、金融危機前の西側諸国の銀行ほど複雑なレベルには達していない。
かつて、中国経済における信用拡大の状況は毎月発表される新規融資データを見ることで把握できたが、今や、この数字には中国経済で起きていることのほんの一部しか反映されていない。
銀行はローンを偽装し、バランスシートから外すため数多くのトリックを駆使しているためだ。
こうした背景を理解するため、
規制当局と銀行の間で過去4年間にわたって繰り返された「いたちごっこ」
を振り返ってみたい。
中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)の頭痛は2009年末に始まった。
当時、銀監会は中国政府による大規模な景気刺激策で膨らんだ銀行信用の抑制に努めた。
その結果、10年の新規融資額は09年の水準を下回ったものの、実際は、銀行がバランスシートから融資を外すため、信託会社を利用して信用供与を続けていた。
信託会社は当時、中国の金融システムの中でまだ小さなプレイヤーにすぎなかった。
この方法は、銀行のバランスシートに融資が反映されないものの、依然として銀行がリスクを負っていることを意味する。
10年後半までには銀監会が乗り出し、融資をバランスシートに再び戻すためのタイムテーブルを銀行に提示した。
その後ほどなくして、銀行で販売される「理財商品」が急拡大した。
理財商品とは通常、債券や銀行間ローン、株式、指数先物に投資する短期的なファンドで、低水準の預金金利よりも高い利回りを生み出す商品だ。
銀行は以前からこうした商品を富裕層に販売してきたが、11年になって市場が急速に拡大した。
銀行が積極的に「理財商品」を売り出し、表面上はリスクがないように見える商品に預金者も魅了されたためだ(つまり、銀行が後ろ盾になっていた)。
「理財商品」は銀行にとって、バランスシート上の融資額を増やすことなしに顧客への貸し出しを拡大し続ける手段の1つだった。
それを受け、銀監会は11年半ばに再び介入。
融資を裏付け資産とする信託商品購入のために理財商品を利用することを取り締まった。
しかし銀行はすぐに、これをかいくぐる方法を見つけ出した。
信託商品をそのまま買い入れるのではなく、そのデリバティブ(派生商品)を購入し、信託商品の経済的な恩恵を与えつつ、原資産である信託商品をコントロールしないという方法だ。
理財商品ファンドは信託商品を信託会社から直接購入する代わりに、サードパーティーから信託商品の受益権を購入する。
受益権とは信託商品から発生する経済的利益を受け取る権利のことだ。
このビジネスは12年半ばに本格的に拡大した。
証券規制当局が証券会社とファンド運用会社の業務範囲を拡大したためだ。
そして今年3月、銀監会は再三、介入に乗り出した。
信託会社の融資が理財商品の増大を防ぐことに失敗した銀監会は、投資用の商品として再パッケージされる可能性のある「非標準的なクレジット資産」の量に上限を設けた。
信託会社の融資と信託受益権、さらには銀行が夢見るあらゆるものをすべて網羅できるようにするためだ。
その結果、銀行は法人融資を銀行間ローンに見せかけるため、込み入った取引で信託受益権の移転を利用するようになった。
これは昨年すでに、比較的小規模な一部の銀行でよく利用されていた方法だ。
さらに一部の銀行は、「非標準的なクレジット資産」の上限規定に違反することなしに理財商品の高利回りを提供し続ける手段として、プライベートエクイティ(PE)を利用した。
ただ、一部のPEが提供する商品は負債のように見える。
ファンドが名目上投資している企業は株式をあらかじめ合意された価格――つまり、より高い金額――で将来買い戻すことを約束しているためだ。
信託会社は、銀監会が不動産開発業者への融資拡大を食い止めようとした11年に同じようなトリックを試みた。
数カ月後、銀監会はこうした投資は実質的に融資と変わらないことを認識し、これを阻止した。
しかし、こういった信用の付け替えや隠ぺいはどれだけ重要なのだろうか。
香港のシティグループに勤務する銀行アナリストのサイモン・ホー氏は、中国の主要銀のこういった簿外資産――銀行引受手形、担保、理財商品を含む――は、銀行の総資産のわずか10%にすぎないと指摘する。
もっとも、小規模の銀行では最大30%から40%に達するケースもあるという。
これは西側諸国の銀行が世界的な金融危機の始まりに直面したものと比べると大したことはない。
例えば、12年末の中国工商銀行の簿外資産は、バランスシート上の総資産のわずか9%だった。一方、08年半ばのシティグループの簿外資産は1兆1000億ドル規模で、バランスシート上の総資産の約半分を占めていた。
銀監会は銀行との果てしなき「いたちごっこ」に苦悩するだろうが、それでも金融セクターの行き過ぎを抑えるため定期的に行動している。
中国の銀行にとって、規制の裏をかくことも通常業務の一部になった。
銀行、信託会社、そして証券会社は、新しい規則が導入される度にその迂回方法を探し求めている。
この方法には多くのバリエーションがある(ここに紹介したのは銀行が編み出したもののなかの、ほんのわずかな例に過ぎない)上、複雑になっているため、規制当局や投資家が把握するのがより難しくなっている。
借り手は通常、政府が銀行に貸し出し中止を指示した企業だ。
つまり、インフラ関連業者や不動産開発業者といった、すでに多くの負債を抱えているセクターの企業だ。
こういった融資が不良債権化すれば、銀行にとってはアルマゲドン(世界の終末)とはいわないまでも、まったく無傷で済むわけにもいかない。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年8月22日 22時0分
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=2987411565054388575#allposts/postNum=1
「2025年に中国は世界最大の経済大国に」ノーベル賞受賞者が見通し―中国
●21日、中国人民大学で開かれた国際シンクタンク会議で、ノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学教授のロバート・マンデル氏は、2025年に中国が世界最大の経済大国になるとの見通しを述べた。
2013年8月21日、中国人民大学で「大きな金融、大きな協力、大きな統制」と題した国際シンクタンク会議が開かれた。
ノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学教授のロバート・マンデル氏は、
2025年に中国が世界最大の経済大国になるとの見通しを述べた。
中国新聞社が伝えた。
9月5、6日にロシア・サンクトペテルブルクで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議では金融・経済問題が主な議題になるとみられている。
マンデル氏は過去100年余りの国際通貨体制の歴史を紹介した上で、今後の国際通貨体制安定化に向けた構想を披露した。
同氏はまた、
「中国の国内総生産(GDP)は現時点で米国の2分の1。
中国経済がこのままの速度で成長を続ければ、約10年後に米国に追いつき、2022年から2025年ごろには追い抜くだろう」
とも述べ、2025年に中国が世界最大の経済大国になるとの見通しを示した。
同氏は2007年、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに中国人民元を加え、ユーロや米ドルとともに新しい多元的な国際通貨体制を構築し、為替と世界経済の一層の安定化を確保すべきだと指摘している。
国際シンクタンク会議が中国で開かれたのは今回が初で、米国、EU、新興5カ国(BRICS)、韓国、日本、中南米、中東など20カ国・地域から26シンクタンクの代表者が出席。
金融危機後の世界規模での統制、新興経済体の役割、中国の発展とG20の将来などをテーマに2日間にわたって討論が行われた。
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ノーベル賞受賞者の予想というのはどうもマユツバが多い。
以前に、経済学賞をとった学者がソビエト崩壊をまったく予想できずにおり、それでノーベル賞をもらっている。
ノーベル経済学賞というのはOECDやIMFの主張をよいしょしている雰囲気が濃厚に思えてならないのだが。
独立した考えが欠けているように思える。
AFP BBNews 2013年08月22日 17:17 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/article/economy/2963320/11231684
中国のうそには3種類:「うそ、大うそ、そして統計」 中国の信頼性に疑問
経済規模で世界一に上り詰める勢いの中国。
だが、同国の経済関連統計の信頼性には相変わらず疑問が付きまとう。
事前予想と大きくかけ離れた中国の月次貿易統計に今年、エコノミストらが異議を唱えた。
3週間ほど前には、景気の先行きを示す指標のひとつ、製造業購買担当者景気指数(PMI)で、中国国家統計局と金融機関の数字が正反対の内容を示した。
さらに、インフレ率の計算方法についても疑問が投げ掛けられている。
中国の統計の信頼性については、ほかならぬ李克強(Li Keqiang)首相がかつて疑問を呈したことがある。
内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が10年に公開した米外交公電によると、今年3月に首相に就任した李氏は、遼寧(Liaoning)省で党委書記を務めていた07年、当時の駐中米国大使に、中国の一部の統計は「人為的なもの」で信頼できないと話した。
米外交公電によれば、李氏は遼寧省の経済動向を判断する際に注目するのは
①.電力消費、
②.鉄道貨物取扱量、
③.銀行融資
の3つだけで、
「他の統計、特に国内総生産(GDP)は参考にする程度だ」
と笑いながら話したという。
■データ粉飾の強い動機
統計上では中国の経済規模は10年に日本を抜いて世界2位となった。
アナリストらは、米国が100年以上守ってきた世界首位の座を中国に奪われるのも時間の問題だとみている。
北京大学(Peking University)の教授(財政学)で、米シンクタンク、カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)の上席研究員でもあるマイケル・ペティス(Michael Pettis)氏は、中国が統計を集計するスピードについて、経済規模がはるかに小さいフランスよりもずっと速いと指摘。
フランスの統計は中国の統計に比べて質がかなり高いとされている。
中国についてのコンサルタント会社の代表で、在中国日本大使館経済部参事官を務めた経歴も持つ津上俊哉(Toshiya Tsugami)氏によると、中国の地方政府トップの評価は主に実績に基づいて行われる。
地方の経済をどの程度、発展させたかという点が最も重視され、発展の度合いの指標とされるのがGDPだという。
津上氏は
「地方政府のトップは昇進のため、GDPを増加させようと過酷な競争を繰り広げている。
彼らは統計も扱うため、データ粉飾の強い動機が生まれる」
と説明した。
■公式GDPは実態より大きい?
中国の地方政府が発表するGDPの合計が、国全体のGDPを大きく上回ることはよく知られている。
中国のGDP成長率は公式統計で11年が「9.3%」、12年が「7.8%」
とされている。
だが、英銀スタンダード・チャータード(Standard Chartered)のエコノミスト、スティーブン・グリーン(Stephen Green)氏は今年発表したレポートの中では、
同じ年の中国のGDP成長率をそれぞれ公式統計を大きく下回る
11年が「7.2%」、12年が「5.5%」
と算出した。
北京大学のHSBCビジネススクール(HSBC Business School)で教えているクリストファー・ボールディング(Christopher Balding)氏は今月発表した論文で、歪められた消費者物価指数(特に住宅関連)は、中国の経済規模を実態よりもかなり大きくみせていると論評した。
英ロンドン(London)のキャピタル・エコノミクス(Capital Economics)の中国エコノミスト、ワン・チンウェイ(Wang Qinwei)氏はAFPに、
「データが信頼できるものでなければ、どんな政策や改革の意思決定も間違ったものになるだろう」
と述べた。
(c)AFP/Kelly OLSEN
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●中国はすでにマイナス成長?
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