2013年7月30日火曜日

天空都市:着工は何時に、中国の世界一超高層ビル建設-認可手続きがネックに

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●天空都市の着工式典


ウオールストリートジャーナル     2013年 7月 29日 14:11 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323670304578634990714157344.html?mod=JWSJ_EditorsPicks
By ESTHER FUNG

中国で世界一の超高層ビル建設か-認可手続きがネック 

中国湖南省の省都、長沙市で世界一の超高層ビルが間もなく建設される見込みだ。 
だが間もなく建設されるというのは、本当だろうか? 

 長沙に本拠を置く遠大科技集団(Broad Group)は今月20日、地上202階建ての超高層ビル「天空都市」の着工式典を行い、世界中のメディアによって報じられた。
 しかし23日に地元紙・瀟湘晨報が報じたところによると、遠大科技は、適切な認可を得ていないとして地元当局から建設中止を命じられた。
 この記事はのちほど同紙のウェブサイトから削除されたが、国営新華社通信を含む他の多くのメディアもこれに追随する報道をした。 

 遠大科技は25日、適切な認可を取らずに着工したとの疑惑を否定し、計画は規則にのっとって進められると強調した。 

 遠大科技の広報担当者Zhu Linfang氏は
 「それは徐々に段階的に進むプロセスだ」
とし、
 「通常、全ての承認を一度には取らない」
と述べ、
 「われわれは建設事業の進捗(しんちょく)に合わせて必要な承認を取得しており、全て当局の規則通りに従っている」
と付け加えた。 

 中国でこのような大型構造物を建てる際には通常、多くの規制のハードルに直面する。実際、規制当局への対応は、遠大科技が「天空都市」の完成予定日を先送りした理由の1つだ。2010年に遠大科技がプレハブ(モジュール化)高速建築技術を映したコマ送りの動画を公開したところ、その動画は爆発的にヒットした。同社の当初の計画では2013年1月に開業予定だったが、現在は14年4月の完成予定になっている。 

 前出の遠大科技担当者Zhu氏は、同計画の遅れについて聞かれると、
 「一部の手続きにこれほどの時間がかかると考えていなかった」
と述べたものの、それ以上の詳細は明らかにしなかった。 

 長沙市当局に26日午後、「天空都市」について問い合わせたところ、地元の住宅局に転送されたが、同局は電話に出ない。 

 たとえ遠大科技が工期に間に合うように迅速に認可を取るとしても、人口700万人前後の長沙市にこれほど大型のビルへの需要があるか否かは不明だ。 

 遠大科技によると、
 「天空都市」は完成時の高さが838メートルと、現在世界で最も高いアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの「ブルジュ・ハリファ」
の828メートルを上回る。
 「天空都市」はそれ自体が都市という構造で、住宅4450戸、ホテル250室、エレベーター93基のほか、1階から170階まで伸びる全長10キロの歩く通路も整備される。 

 遠大科技はまた、学校、病院、オフィスの用地として10万平方メートルを確保しておく見通しだ。 

 遠大科技はウェブサイトのプロモーションビデオで、この超高層ビルを「都市化の次のステップ」とし、都市のスプロール(無秩序な拡大)現象や交通渋滞を抑制できるプロジェクトだと自賛し、理論的には乗用車2000台を道路から撤去できると強調している。
 ビデオによると、この超高層ビルはまた、持続可能な建設資材で建築され、あらゆる住宅ユニットに空気清浄フィルターが付いているという。 

 ドバイの「ブルジュ・ハリファ」が竣工まで6年かかったのに対し、
 「天空都市」は、基礎部分の建設を除いてわずか7カ月で完工する、と遠大科技は強調している。
 同社によれば、モジュール資材を製造するのに4カ月間要し、労働者2万人を雇用する。
 その後、建築物を組み立てるのに3カ月間必要で、さらに労働者3000人を雇用するという。 


[image] Broad Group
●天空都市の完成予想図

 遠大科技は、国内外市場向けエアコン製造事業で成功を収めた民間企業だが、90億人民元(約14億7000万ドル、約1440億円)かかるこの超高層ビル建設事業の資金繰りをどうするか説明していない。 

 中国の不動産・建設市場は近年、猛スピードで拡大し、空室で無駄になっているビルへの懸念もあるが、このような超高層ビルを建設するのを正当化する需要が十分にあるかどうかに遠大科技はほとんど言及していない。 

 不動産データ・プロバイダーのE-House Chinaのアナリスト、Yang Chenqing氏は
 「長沙は武漢ほどに急速に成長していないのは事実だが、その住宅市場は政策上の抑制にそれほど妨害されておらず、需要は極めて堅調だ」
と述べた。
 武漢は湖北省の省都で、長沙から車で2時間のところにある。 

 それはすべて順調に聞こえるが、今年3、4月に中国本土と香港のデベロッパーやファンドマネジャーを含む111業者のアンケート調査によると、今年の長沙の不動産投資展望では不動産部門は前年ほど強気ではない。
 非営利研究組織Urban Land Institute(ULI)による不動産投資展望でみた中国の30都市ランキングでは、長沙は昨年の10位から17位に落ち込んだ。 

 ULIのリポートは、ある国内開発会社は長沙について慎重な見方をしており、
 「長沙での開発事業着手の現在のリスクは低くないと指摘している」
と述べている。 

 同リポートはこの開発会社(社名は非公表)の話として
 「長沙はダイナミックな都市だが、現時点で開発用地の深刻な供給過剰にあえいでおり、
 それは政府が土地をめぐる統制であまりにルーズだった結果だ」
としている。 

 政府が統制強化を決定すれば、遠大科技は既にそうしている以上に超高層ビルの建設を遅らせざるを得なくなる恐れがある。



CNN ニュース 2013.07.28 Sun posted at 15:52 JST
http://www.cnn.co.jp/business/35035219.html?tag=cbox;business

世界最高層ビル建設はまだ未許可、起工式終了も 中国


●「天空都市」(左)「ブルジュ・ハリファ」(中央)などの高層ビル。天空都市に建設許可は下りていないという

(CNN) 中国中部の湖南省長沙で今月20日起工式が催されたばかりの世界最高層とされるビル建設計画で、中国の国営メディアは28日までに、ビルの開発企業は当局から建設に必要な許可をまだ得ていないと伝えた。

 同省省都の長沙市の都市開発計画行政当局者はCNNの取材に、開発企業「遠大集団」によるビル建設計画は現時点であくまで初期段階にあると説明。
 建設に必要な土地約22エーカーを取得しただけだと述べた。

 一方で、遠大集団の広報担当者はCNNに対し、建設工事はまだ開始されていないとし、法律違反の行為を犯したわけでもないと述べた。
 ただ、建設開始時期については言葉を濁し、将来の記者会見で明らかにされると語った。

 同社は以前の声明で高さ838メートル、202階建ての超高層ビル「天空都市」は来年4月に完工すると発表。
 実際に完成すれば中東アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるブルジュ・ハリファ(高さ828メートル)を抜いて世界最高層ビルとなる。

 天空都市の総工費は14億6000万米ドル(約1434億円)相当。
 省エネ設計や効率的な土地利用で建設、ビル内に住宅、オフィス、ショッピングセンター、農場、遊戯施設などを造り、約3万人の住民を見込む。

 一方で、独自開発の工法導入でビル完工は10カ月で可能とする遠大集団の主張を疑問視し、建物の安全性を危ぶむ建築家らもいる。
 この工法は、鋼鉄とコンクリート製の基幹部分を建物区画ごとに前もって造り、ビル本体構築でそれぞれはめ込んでいく方式となっている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年8月7日 1時4分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75226&type=0

世界で建設中の超高層ビル、87%が中国に
=「時代遅れ」との見方も―中国メディア


●6日、「世界一高い超高層ビル」に関する話題は大きな物議をかもし、その騒ぎを引き金に、「中国には本当に、それほど多くの超高層ビルが必要なのか?」という根本的な問いが中国人に突き付けられている。写真は上海の高層ビル群。

 2013年8月6日、現在世界一の高さを誇るアラブ首長国連邦ドバイの「ブルジュ・ハリファ」をさらに上回る高さとなる湖南省長沙市の超高層ビル「天空都市(Sky City)」(投資・建設:遠大集団)が、着工からわずか4日後、建設認可を得るための手続きを終了していなかったという理由で、関連部門から建設中止命令を下された。
 「世界一高い超高層ビル」に関する話題は大きな物議をかもし、その騒ぎを引き金に、
 「中国には本当に、それほど多くの超高層ビルが必要なのか?」
という根本的な問いが中国人に突き付けられている。
 中国経済周刊が伝えた。

 統計データによると、現在世界中で建設が進められている超高層ビルのうち、87%が中国で建設されている。
 また、現在の超高層ビルトップ20棟のうち、10棟は中国にある。専門家の研究によると、現在建設中の超高層ビルが全て完成するとすれば、今後3年間、中国では5日に1棟のペースで超高層ビルが完成することになり、5年後、中国の超高層ビルの数は、米国の4倍に相当する500棟に達する見通しだ。

 最初の超高層ビル建設ブームは、1930年代にニューヨークで起こった。
 当時、ニューヨークでは100棟を上回る超高層ビルが建設された。
 世界中に名を馳せた「エンパイア・ステート・ビルディング」もその頃に建設され、その後40年間、「世界最高の建築」という栄えある称号を保ち続けた。
 1960年代になると、日本の東京でも超高層ビルの建設ラッシュが始まった。
 当時の日本は、高度経済成長の真っただ中にあったことで、ステータスに対する日本人の渇望と追求が限りなく加速され、それを誇示するかのように、超高層ビルが続々と新宿に姿を現した。

 時代が変わっても、超高層ビルに対する人々の欲求や目的は変わらない。
 超高層ビルは、国家あるいは都市の強大な経済力と科学技術レベルを誇示する目的で建設されてきた。
 次々と完成した超高層ビルは、人類の工業文明と科学技術の輝かしい成果を示すと同時に、その国や都市の経済・資産・流行を示すという役割を果たした。

 しかし当時の米国や日本と比べ、現在の中国の「超高層ビル建設ブーム」は、やや趣が異なっている。
 1930年代のニューヨークは、超高層ビルの建設によって経済力と科学技術力を明示する必要があった。
 また日本も1960年代の超高層ビル建設で、敗戦からの完全復興を世界に証明する必要があった。
 一方、中国の各大都市に超高層ビルが乱立しているのは、ある種「成り上がり」を誇示するものだ。
 超高層ビルはもはや、技術・先進・流行・実力のシンボルではなくなった。
 そのようなモードは過去のものとなった。
 これは、1980年代初めに多くの「トレンディ」な人々がダブルラジカセを片手に持ち歩き、大音量で音楽を鳴らしながら大通りを闊歩していた姿と全く同じだ。
 当時、彼らが持っていたラジカセは、海外ではとっくの昔に淘汰された製品だった。

 ニューヨーク・東京・香港・上海などの世界の大都市は、人口増加と経済発展に伴い、さらなる土地の有効利用を進め、各種ニーズを満たす目的で、超高層ビルを建設する必要に迫られたことは間違いない。
 しかし、都市そのものの規模やレベルがそれほど発達していない長沙のような都市には、「世界一の超高層ビル」は実のところ必要ない。
 「世界一の超高層ビル」を建設することに「売名効果」があり、世の中の人々にその都市を強く印象づけることができると思うのは、極めて稚拙な考え方だ。
 ある都市が人々に強い印象を残せるか否かは、その都市に「世界一の超高層ビル」があるかどうかによるのではなく、都市計画や交通・環境などの公共サービス、さらにはその都市に住む人々の精神性や素養が決め手となる。

 今回、監督管理部門によってストップがかかったのは、「世界一の超高層ビル」建設だけはない。
 一種の短絡的な思考法、さらに言えば現代中国社会の浮ついた心理状態にもストップがかけられたのだ。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/武藤)



減速する成長、そして増強される軍備


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