2013年7月17日水曜日

中国シャドーバンキングは100兆円規模:成長率は7%程度まで減速の可能性あり

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ロイター 2013年 07月 17日 17:56 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96G07T20130717

中国シャドーバンキングは100兆円規模の可能性=JBIC副総裁

[東京 17日 ロイター] -
 国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史副総裁(元財務官)は17日、都内で開いた記者団との懇談会で、中国のシャドーバンキング(影の銀行)市場について、100兆円レベルに達している可能性を指摘し、どこかの段階で処理をしなければいけない問題であり、要注意だと語った。

 ただ、損失の大部分は中国国内にとどまる可能性が大きく、システミックリスクを回避する姿勢を明確にしている中国当局の対応次第では、問題が表面化しても世界経済や国際金融市場への影響は最小化できるとの見方を示した。

 中国のシャドーバンキング市場は、一部で300兆円を超える規模とも言われている。
 渡辺氏は
 「さすがに中国の預貯金の動きなどを見ると、三百数十兆円というのは大き過ぎる」
としたが、預金金利がインフレ率を下回っている中で
 「ある程度の金額が動いていることは間違いない。
 100兆円ぐらいのレベルでも不思議ではない
と語った。
 その上で、過剰生産を抱える中国経済の減速が鮮明になっている中で
 「どこかで処理をしなければいけない。要注意だ
と警戒感を示した。

 ただ、
 「幸いなことに中国の市場は上海を含め、外国の投資家がどっと入ってきているわけではない」
とし、
 「損をするのは、あくまで中国国内の人。
 個人か、事業法人か、国営企業か、銀行かという意味では、中国の中のゼロサムゲームのようなところがある」
と指摘。
 中国当局も不良債権問題に伴うシステミックリスクを回避する姿勢を明確にしており、問題が表面化しても
 「悪影響は最小化できると思う」
との見解を示した。
 株安など国際金融資本市場を通じた影響についても、レパトリ(本国への資金還流)などの動きは欧米や日本の市場に比べて
 「はるかに違うので、そこは冷静に見た方がいい」
と語った。

 中国経済の先行きについては、
 7%程度まで成長率が減速する可能性がある
としたが
 「ハードランディングというほどひどくはならないと思う
と展望。
 もっとも、成長率が7%程度まで落ちる過程で低所得の階層にしわ寄せがいく可能性があるとし、
 「社会的にいろいろな意味でガタガタするかもしれない」
と語った。



ロイター 2013年 07月 17日 19:42 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96G08Q20130717

中国経済の失速を示すものではない
=成長率見通し下方修正でADB総裁

[東京 17日 ロイター] -
 中尾武彦・アジア開発銀行(ADB)総裁(前財務官)は17日、都内で講演し、ADBが中国の2014年の経済成長率見通しを8.0%から7.5%に下方修正したことについて、「経済の失速を示すものではない」との見解を示した。

 足元で広がる「中国リスク」について、
 短期的に大きな問題になるとは思っていないとした。

 ADBは16日、中国の2013年の実質経済成長率の見通しを7.7%、14年は7.5%に、いずれも4月時点の予想から0.5%ポイント下方修正した。
 最近の輸出入の減速や金融引き締めを反映したものと説明した。

<中国の金融引き締め、「短期的に大きな問題になるとは思っていない」>

 足元では、影の銀行(シャドーバンキング)と呼ばれる銀行融資以外の金融取引に対する不透明感から「中国リスク」への警戒感が広がっている。

 中国リスクについて中尾氏は
 「短期的には、ノンバンクのバブル的状況を抑えようと、人民銀行が信用の量を少し締めた結果、短期金利が振れ、人民銀行のやり方としてどうかという議論や引き締めが強化されればさらに減速するなどとの議論は確かにあり得る」
としながらも、中国政策当局者には
 「成長は大事だが、消費を喚起し、不動産や民間の設備投資に偏らないバランスのとれた成長」
に対する明確な意識があると強調した。
 金融政策の手法についても
 「偏った形でノンバンクが発達し、消費者保護の観点からも放置できない問題になりかねない。
 中小企業にカネがうまく回る形になっていない」
ことに対して
 「明確な形で行動した」
と述べ、引き締めによって
 「短期的に、大きな問題になるとは思っていない」
とした。

 一方で、輸出の減速傾向は明確で、中国の主要輸出相手である欧州経済が低調なため「これまでのような輸出の勢いはないかもしれない」と見通した。

<米出口戦略と資金フロー問題を注視>

 米国の量的緩和の出口戦略と新興国への資金フローの問題では、インドネシアでの株価の下げなどを挙げ、
 「資金の巻き戻しの恐れを感じ、彼らが注意していることは確かだ」
としながらも、
 「リーマン・ショック後のような大きな動きになっているかというと、今までの困った経験から、各国の中銀によく注意しておかなければならないとの意識がある」
と語った。

<アジア共通通貨構想、アジェンダとする考えない>

 アジア共通通貨構想については
 「アジア開発銀行として、いまアジェンダとして取り上げて進める考えはない」
と語った。


 同じ記事をレコードチャイナで。

レコードチャイナ 配信日時:2013年7月18日 6時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74418&type=0

中国経済の減速傾向、「失速ではない」
=シャドーバンキングも大問題にはならず―アジア開銀総裁

 2013年7月17日、中尾武彦アジア開発銀行総裁は日本記者クラブで記者会見し、中国の最近の景気減速傾向について
 「中国経済の失速を示すものではない」
との見解を表明。
 その上で、
 「周辺諸国の中にはその影響を受けるところがあるので、よく見ていかないといけない」
と語った。

 アジア開発銀行が16日に、中国の実質GDP成長率見通しを、2013年7.7%、14年7.5%とそれぞれ下方修正したことについて、中尾総裁は
 「最近の輸出入の減速や金融引き締めを反映したもの」
と説明。
 その上で
 「成長率見通しは下げたが極端に下げてない。
 中国景気の失速を示すものではない。
 ただ周辺諸国の中にはその影響を受けるところがあるので、よく見ていかないといけない」
と言明した。

 影の銀行(シャドーバンキング)と呼ばれる銀行融資以外の金融取引に対する警戒感が広がっていることについて、
 「中国政府は短期的には、ノンバンクのバブル的状況を抑えようと、中国人民銀行(中央銀行)が信用の量を少し締めた結果、短期金利が上昇した。
 短期的にこれで大きな問題になるとは思っていない」
と指摘した。

 ただ、中国経済は
 「投資分野に偏っており、国内消費をより増やす経済構造への移行が必要」
と強調。
 その上で
 「中国政策当局者には成長は大事だが、消費を喚起し、不動産や民間の設備投資に偏らないバランスのとれた成長を実現しようとの意識がある」
と言明した。

 中国では不動産などへの過剰投資の結果不良債権が警戒的なレベルに拡大しているとの懸念に対し、
 「中国の高官と話している限りでは都市化を進めるうえでの想定の範囲内ということだった。
 都市化がどのように影響するか見ていかなければならない」
と語った。

 中尾総裁は、中国の財務部や人民銀行首脳とはG20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)などで会談し協議していることを明かす一方、8月中旬に北京で開催される北京・東京フォーラムに出席し、中国金融財政当局側と会談する予定であることを明らかにした。




減速する成長、そして増強される軍備


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