2013年6月21日金曜日

成長減速、中国経済の悪夢:問題の解決方法を中国は持ち合わせていない




●18日、フォーブス中国語版は記事「中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ」を掲載した。投資主導の成長モデル、リーマンショックの対応ミス、地方政府の暴走が中国の生産能力過剰を生み出したという。写真は山東省の製鉄所。


レコードチャイナ 配信日時:2013年6月21日 7時24分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73486&type=0

成長減速、中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ―中国

 2013年6月18日、フォーブス中国語版は記事
  「中国経済の悪夢はまだ始まったばかりだ」
を掲載した。

 中国経済の成長ペース減速について、多くの人々が不安視している。
 生産能力過剰は中国経済の大問題の一つだ。
 いわゆる生産能力過剰とは生産能力の総和が消費能力の総和を超えた状態を指す。
 根本的には投資主導の経済成長モデルが生産能力過剰を生み出した要因となっている。

 中国政府はリーマンショック後の2008年に4兆元(約61兆7000億円)という巨額の景気刺激策を導入した。
 大規模な失業を避けるのが目的だったが、
 実際には生産能力過剰の悪化を引き起こしてしまった。

 ある専門家は次のように指摘する。
 「中国が2008年に実施した景気対策は市場の安定には必要なものでした。
 だが、金額が巨大すぎた、あまりにも固定資産に偏りすぎた、あまりにも建築分野を重視しすぎたという問題があったようです。
 中国の建築、建材業界の生産能力は激しく成長し、最終的にはこの産業分野全体が深刻な生産過剰に陥ってしまったのです」。

 中国にとって最大の問題は、地方政府が最も関心を持っているのが地方の経済成長だという点だ。
 中国中央政府はむやみで無駄な投資を削減したいと考えているが、そうした投資は地方政府に強く支持されている。
 これら生産能力過剰を生み出す問題を短期的に解決する方法を中国は持ち合わせていない。



JB Press Financial Times 2013.06.18(火)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38036
(2013年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国経済、成長を脅かす過剰生産能力
出世目指す党幹部の野望、政府の補助金が仇に


●世界最大のソーラーパネルメーカーになった尚徳電力(サンテックパワー)は今春、会社更生法の適用を申請した〔AFPBB News〕

  中国第5位の富豪になった2006年ごろ、施正栄(シ・ジェンロン)氏は「太陽王」の異名を取った。
 それからわずか3年で、同氏の尚徳電力(サンテックパワー)はニューヨーク証券取引所に上場する世界最大の太陽光パネルメーカーに成長した。

 その年間生産量は、エネルギーを大量に消費する米国の家庭100万世帯の電力を賄えるほど多かった。

 苦しい状況にあった米国やドイツの製造業者にとって、サンテックは誰にも止められない巨大な勢力の一部だった。
 市場に安値攻勢をかけ、圧倒的に安い製品を世界中に大量供給し、同業他社を脱落させる勢力だ。

 実際、欧州委員会は現在、欧州域内で製造原価を下回る価格で太陽光パネルを販売しているとされる中国メーカーには輸入関税の引き上げも辞さないとの姿勢を示している。

■太陽光パネル業界の盛衰は顕著な事例に過ぎない

 しかし、中国のビジネスモデルが難攻不落だとはとても言えない。
 サンテックは今年3月に会社更生法の適用を申請した。
 ピーク時には160億ドルに達した時価総額も、今では約1億8000万ドルにとどまっている。
 太陽王は会長の座を追われた。

 実を言えば、太陽光パネル業界は、中国における過大な生産能力の最も顕著な事例に過ぎない。
 同業界の隆盛と凋落は、世界第2位の経済大国でお馴染みになりつつあるパターンをなぞったものなのだ。

 こうした問題の源泉は、中国の産業政策と、1つのセクターが丸ごと、それもあっという間に誕生することを可能にするような数々の補助金に求められる。
 地方政府の野心的な幹部たちは、
 成功してほしいと自分たちが願う事業に政府の資金をつぎ込みたがっている。
 成功すれば、自分の出世にもつながり得るからだ。

 「行政措置を講じれば、生産能力は大幅に過大になる。
 この国は、実に多くの分野で過大な過剰設備を抱えることになってしまった」。
 中国を訪れることの多い米国のハンク・ポールソン元財務長官はこう語る。
 「クリーンテクノロジー(環境技術)に限った話じゃない。
 鉄鋼でも造船でも何でもそうだ」

 化学製品からセメント、大型ブルドーザー、薄型テレビに至るまで、中国の工業部門は過剰設備にあふれている。
 このため中国内外で企業の利益は減少しており、ただでさえぐらついている中国の経済成長もさらに不安定になりかねないのが実情だ。

■諸外国に及ぶ恐ろしい「中国効果」

 問題自体は以前からあった。
 過剰設備の問題は、2008年の金融危機に対する中国中央政府の対応で悪化し、数年に及ぶ政府の努力にもかかわらず悪化し続けている。

 中国は現在、アルミニウムや鉄鋼の世界生産量の半分近くを担っており、セメント生産の世界シェアは約60%に達している。
 ところが、景気が減速しているにもかかわらず、生産能力の増強は急ピッチで進められている。

 中国の昨年の経済成長率は7.8%という13年ぶりの低水準となった。
 第4四半期に一時盛り返したが、今年上半期はさらに伸び悩んでいる。

 アルミニウムの価格は近年急落しており、中国のアルミメーカーの半分以上は赤字操業になっている。
 しかし、アルミ精錬所は現在も中国国内のあちこちで建設されている。
 アルミの生産にはエネルギー、水、ボーキサイトという、中国では不足しているものが大量に必要であるにもかかわらず、だ。

 中国からあふれ出る過剰供給のために、
 諸外国の製造業者も生産施設の閉鎖を余儀なくされている。

 また中国企業連合会(CEC)の調査によれば、昨年にはセメントの生産施設の稼働率が3分の2前後にとどまったという。

 世界各国の製造業者にとって、ここ10年間の「中国効果」は実に恐ろしいものだった。
 世界中で雇用と生産能力が破壊され、ライバル国の工場が次々に閉鎖に追い込まれていった。

■中国シフトが終わると、すぐに始まる共食い

 しかし、中国の低価格製品に席巻されたセクターのほぼすべてで、奇妙な現象が生じている。
 どの産業においても、世界の生産施設の大部分が中国に移るとすぐに生産能力が過大になり、共食いが始まるのだ。
 前出のサンテックはその典型的な例だった。

 中国国家発展改革委員会のエネルギー政策上級アドバイザー、李俊峰(リー・ジュンフォン)氏は、中国の太陽光パネル業界を生命維持装置に支えられた患者になぞらえ、全世界の太陽光パネル生産能力の少なくとも半分を削減しなければならないと話している。
 「過大な生産能力は低価格競争を招く。
 過大な生産能力を擁する産業はすべてこの問題を抱えている」

 太陽光発電パネル産業よりも一足早くこの問題に見舞われたところがあった。
 携帯電話端末の市場である。
 中国政府は10年前、パンダ(南京熊猫電子)、コンカ(康佳)、ニンポーバード(寧波波導)といった国内メーカーでこの市場を席巻しようと企てた。

 これらの企業は今日、中国本国においてもよく知られたブランド名だとは言い難い。しかし以前は、低コストを売り物にするこれらのメーカーがいずれ台頭し、ノキアやエリクソン、モトローラの中国版になると予想したアナリストが少なくなかった。

 中国の政府部門、とりわけ地方政府は、世界的な企業に成長させたいという願いを込めて、これらの企業に巨額の補助金を投じた。
 しかし最終的には、どの企業も新技術開発競争に敗れてしまった。

 「当時は、これらの企業が中国の新たな巨大ハイテク企業に育つだろうという話があちこちで語られた。
 実際、低価格帯の市場を食い荒らして外国企業を脅かした」。
 J・キャピタル・リサーチの調査担当ディレクター、アン・スティーブンソン・ヤン氏はこう語る。
 「ところが時が経つにつれ、
 中国企業は
①.低価格の、
②.差別化されていない製品を
③.大量に作る
工場の座にとどまる
ことが多くなっている」

■中国企業が世界を席巻できたのは補助金のおかげ

 また複数の研究によれば、中国企業がいくつかの製造業セクターで世界市場を席巻できているのは補助金による部分が大きく、その大半は地方政府や省政府によるものだという。

 米国の大学で教鞭を執っているウシャ・ヘイリー氏とジョージ・ヘイリー氏は、中国の鉄鋼、ガラス、製紙および自動車部品の業界が
 小規模な輸入者から世界最大の製造・輸出業者へとわずか数年で変身した過程を研究した。

 その結果、これらはいずれも
①.参入企業が非常に多い資本集約的な産業であり、
②.人件費はコストの2~7%を占めるにとどまること
③.そして圧倒的多数の企業が「規模の経済」や「範囲の経済」の利益を全く享受していないこと
が分かったという。

 「中国が輸出国として大変な成功を収めたのは、安価な人件費と意図的な人民元安による部分が大きいと広く考えられているが、私たちの研究結果はそれとは相いれないものになっている
とウシャ・ヘイリー氏は言う。

 「中国では生産能力がかなり余っており、
 需給も正確なところは分からず、
 私たちの研究によれば鉱工業生産の約30%は補助金で説明できる。
 私たちが調査した企業の大半は、補助金がなくなったら恐らく破綻してしまうだろう」

 中国の地方政府の多くは、地元に施設を構える国営企業や民間企業に、現金を直接注入するだけでなく、用地を非常に安価に提供したり、低利の融資や公共料金の割引、税制上の優遇措置などを行ったりしている。

 調査コンサルティング会社ファゾム・チャイナのマシュー・フォーニー氏とライラ・コージャ氏がまとめた、中国の非国有企業に対する政府の補助金についての調査リポートによれば、調査対象企業の大半は何らかの形の補助金を直接受け取っていた。

■中国自動車メーカーも携帯端末メーカーと同じ運命に遭う?

 「要するに、(中国共産)党で最も速く出世するのは、最も派手な投資プロジェクトを手がけて最も高い成長を実現する人であるのが普通だ」。
 フォーニー氏とコージャ氏はそう指摘する。
 「事業拡大を目指す民間企業への補助金提供は、雇用と税収をもたらす投資案件を地方がつかみ取る際の助けになり得る」

 中国でも特に多額の補助金を受けている企業が、奇瑞汽車(チェリー)、比亜迪汽車(BYD)、吉利汽車(ジーリー)などの自動車メーカーだ。
 アナリストの中には、これらの自動車メーカーも最終的に携帯端末メーカーと同じ運命に遭うと予想する向きもある。

 自動車産業の過剰生産能力は著しく、2010年にボルボを買収した吉利の場合、2011年の純利益の半分以上が補助金から直接得たものだった。

 実際、ファゾム・チャイナの分析によると、同年の吉利の補助金収入は、2番目に大きな純利益の源――金属くずの販売――の15倍以上に上った。

 件の太陽王の場合、地方政府からの補助金と各種助成が施氏にシドニーからの帰国を促すうえで決定打となった。
 同氏はそれまでシドニー郊外に暮らし、ソーラー関連ベンチャーの幹部として、トヨタ自動車の「カムリ」で職場に通っていた。
 施氏とサンテックはコメントを拒んだ。

 2000年に、施氏の出生地に近い中国東部・江蘇省の無錫市政府はソーラー産業の創設に乗り出し、市の幹部は支援の約束をして施氏を故郷に呼び戻そうとした。

■産業育成で出世を狙う党幹部の野望

 「サンテックは無錫市の共産党委員会が撒いた種だ」。
 2011年3月、施氏は市内の新本社に元無錫市党委書記の楊衛澤氏を歓迎した際のスピーチでこう述べた。
 「サンテックの立ち上げ段階ではかなりの圧力を受けたが、無錫市はこの種に水をやり、育て続けた」

 無錫のソーラー産業育成に成功したこともあって、楊氏は2010年、中国最大級の都市の1つである南京市の党委書記に昇格した。
 中国全土の党幹部らはこのような大出世に注目し、企業を助成することで自分たちも高い地位に出世できるとの結論に至る。

 この状況は地域間の激しい競争を生み出し、地方政府同士が事業コストの安さを競い合うようになる。
 地方政府は、雇用と税収(それとリベート)を管轄区内にとどめておくために、環境や安全性、労働に関する法律を実施しないことも多い。

 ほぼすべての産業に共通するもう1つの大きな問題は、企業の投資・成長計画が、政府は絶対に経済成長が8~9%を下回る事態を許さないとの考えに基づいて立てられていたことだ。
 政府が2008年の危機に対応して4兆元(6500億ドル)の景気刺激策を打ち出し、鈍る成長をてこ入れするために建設ブームを引き起こすと、そのような考えが勢いづいた。

 現在、成長率が7.5%以下へと減速する中、中国の新指導部は歴代の前任者よりも過剰生産能力の問題に対処する決意を見せている。

 「我々は経済発展モデルの転換を加速させ、経済構造を精力的に調整、最適化するつもりだ」。
 経済担当の第一副首相で、中国共産党中央政治局常務委員会に名を連ねる張高麗氏は、今月の講演でこう語った。
 「我々は生産能力が過剰な産業では、新規プロジェクトの承認を厳格に禁じ、規制に違反するプロジェクトの建設を断固として止める」

■成長の足を引っ張る重し

 だが、北京の中央政府は何年も前からこの問題に取り組もうとしてきたが、地元の「種」を守ろうとする地方政府の激しい抵抗に遭う。
 アナリストや政府関係者によれば、サンテックなどの企業の破産はまだ珍しく、大抵、会社が救済しようがないか、地方政府が所有権を押さえたいか、どちらかの場合にしか起きない。

 しかし、中国の過剰生産能力の規模と成長減速は、今後、太陽王と同じ運命に見舞われる人が大勢出てくることを示唆している。

 施氏は今も無錫市内にとどまっており、まだサンテックの最大株主だが、中国メディアによれば、同氏はサンテック破綻で果たした役割について捜査の対象になっているという。

 「場所を問わず、補助金の問題は、それが成果ではなく活動を支える傾向があり、単に非効率を助成するようになると、問題になることだ」。
 ゼネラル・エレクトリック(GE)の副会長で、香港を拠点として同社の国際事業を管轄するジョン・ライス氏はこう話す。
 「これを永久に続けると、成長の足を引っ張る重しを大きくするだけだ

By Jamil Anderlini
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レコードチャイナ 配信日時:2013年6月21日 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73509&type=0

中・欧の太陽光パネル紛争、中国が交渉団を派遣―中国メディア


●19日、中国産太陽光パネルをめぐる中国とEUとの紛争について話し合うため、中国商務部、中国電気機械製品輸出入商会、太陽光製品関連企業からなる交渉団がこのほど欧州に赴いた。写真は湖北省襄陽市で新たに設置された太陽光と風力を利用した街灯。

 2013年6月19日、中国電気機械製品輸出入商会がこのほど明らかにしたところによると、中国産太陽光パネルをめぐる中国と欧州連合(EU)との紛争について話し合うため、中国商務部(商務省)、同商会、太陽光製品関連企業からなる交渉団がこのほど欧州に赴いた。
 京華時報が伝えた。

 太陽光製品業界では、欧州型は価格と数量で二重に制限を設けるとともに、価格引き上げ幅などの詳細について中国と意見が一致しておらず、今回の交渉をめぐる状況は複雑であるとの見方が一般的だ。
 このため中国商務部の沈丹陽(シェン・ダンヤン)報道官はこのほど、
 「中国と欧州がこの貴重な機会を生かして、双方が受け入れ可能な合意にできるだけ早く到達することを信じる」
と述べた。
 また、中国がEU産高級自動車を対象に反ダンピング調査を準備中との報道については、
 「現在出されている貿易救済措置の申請や進行中の関連調査は少なくないが、貿易救済措置はあくまで貿易救済措置だ。
 中国側は太陽光パネルの案件にかこつけて何事かを主張することはない。」
と語った。

▽分析、譲歩の余地はあるが結果の予測は難しい

 中国再生エネルギー協会の李俊峰(リー・ジュンフォン)副理事長によると
 「EUはこの案件をめぐる調査の仮決定で、税率11.8%の一時的な反ダンピング税を課すことを明らかにすると同時に、善意を示すシグナルも送ってきた。
 EU側は交渉を継続する用意があり、双方が座って話し合いをするなら、お互いに譲歩の余地があり、話し合いで一致点を見いだしたい気持ちがある、というシグナルだ。
 だが交渉の結果がどうなるか、今はまだよくわからない」
という。

 ある匿名の太陽光大手企業の関係者は次のように指摘する。
 「交渉団ができたものの、これをまとめるのは難しい。
 国内には太陽光関連企業が約150社あり、経営状態、利益水準、EUが提示した条件への許容度はそれぞれ異なる。
 よって企業間で合意に達し、一致協力して外部に対応したいと考えるなら、多くのことを行わなければならない。
 だがEUとの交渉の結果を予測することは難しい」。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)




減速する成長、そして増強される軍備


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