●ミヤンマー
『
JB Press 2013.06.19(水) Financial Times:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38043
ミャンマーに冷遇される中国
(2013年6月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
超現実的な雰囲気が漂うミャンマーの首都ネピドーで、光り輝くコンベンションセンターを見逃すことはまずない。
中国の国営建設会社によって建てられ、数年前に2国間の友好関係の印としてミャンマーの軍事政権に寄贈されたものだ。
ところが、6月初旬、世界経済フォーラム(WEF)の会議が初めてミャンマーで開かれ、世界中から900人以上の企業幹部がこの会議場に集まった時には、中国勢の不在が目立った。
WEFの公式リストによると、中国本土からの参加者はたった16人だった。
■WEFの会議で目立った中国勢の存在感のなさ
中華人民共和国の建国から数十年間、米国の外交政策は
「誰が中国を失ったのか」
という疑問に取りつかれていた。
現在、北京で中国の官僚や中国共産党幹部らが問いかけているのは
「誰がミャンマーを失ったのか」
という疑問だ。
ほんの2年前には孤立した全体主義体制で、事実上の中国の従属国だったミャンマーは、勢いよく国を開放し、今では変化と改革の興奮が至るところで見られる。
西側諸国の制裁措置は概ね解除され、世界各国の投資家が、6000万人の顧客と数十年にわたるインフラ整備の可能性を誇る市場で優位な地位を築こうと押し寄せている。
WEFの会議では、ミャンマーの民族衣装をまとった元将校たちが、タイやベトナム、欧州、米国、そして特に参加者が多かった日本の企業幹部らと交流した。
中国の大きな存在感の欠如は、ミャンマーの閣僚と議員が北京の元同志に言及する際の態度ゆえに一段と際立った。
彼らは公の場では慎重に礼儀正しく振る舞ったが、内輪の場ではかなり辛辣だった。
■「協力にお礼を述べ、お帰りくださいと言ったんですよ」
「我々は中国に対し、協力してくれて『本当にありがとうございました』と謝意を述べ、それから、どうぞお帰りくださいと言ったんですよ」。
ミャンマーのある閣僚の顧問はこう語った。
テイン・セイン大統領が会議の開会の辞を述べた時、会議場では、大統領は小さくて貧しい隣国ミャンマーに対する中国政府の影響力を嫌がっているとささやかされていた。
会議の2日目には、ミャンマーの携帯電話通信網の拡張事業に関し、国営通信大手チャイナモバイル(中国移動)が、どうやら入札に成功する可能性はないと告げられた後にボーダフォンとの共同入札を断念したというニュースが伝わってきた。
北京とネピドーでは、
中国人民解放軍の一部による干渉、傲慢さ、軽視という有害な組み合わせ
により、中国が2国間関係の管理にしくじったという認識がある。
2国間関係の日常的な対応の多くは、無法地帯となっている長い国境をミャンマーと共有する中国・雲南省の省政府と軍司令部に託された。
ヤンゴンからは、ソウル、シンガポール、バンコク、香港、ホーチミン市、その他複数の都市に飛ぶ直行便があるにもかかわらず、ミャンマー・中国間の航空便は今でもすべて、雲南省の省都である昆明市を経由することを義務付けられている。
ミャンマーの将校らは結局、比較的地位の低い中国の「主人」たちに過度に恩義を受けていると判断し、自分たちの影響力を高める最善の方法は友好国を多角化することだということに気付いた。
とはいえ、改革を進めるミャンマー政権が完全に中国政府に背を向けようとしているわけではない。
1つには、今後数カ月以内にミャンマー産原油を送り始める新しいパイプラインはどれも中国につながっているし、数十年間に及ぶ西側諸国の制裁の後だけに、中国企業はスタート地点から大きくリードしている。
また、中国企業には、国内総生産(GDP)が米国のフレズノ市や英国のブリストルのそれ並みでしかない国に教えられることがたくさんある。
■中国が本当に懸念していることは・・・
野党指導者のアウン・サン・スー・チー氏が提言した国際関係の「賢明な対処」には、中国を含め、ミャンマーへの投資を張り合う様々な相手国の間でバランスを取ることが必要になる。
この争奪戦のさなか、薄れた影響力をいくらか取り戻そうとする中国政府は、なぜ元従属国を遠ざける結果になってしまったのか、真の教訓は何か、ということをじっくり考えなければならない。
突き詰めると、中国は、隣国に対する影響力の低下についてはそれほど心配しておらず、
むしろミャンマーの「春の民主主義の目覚め」が国境を越えて自国に波及することを恐れているのかもしれない。
By Jamil Anderlini in Beijing
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同じ記事をレコードチャイナから。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年6月21日 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73499&type=0
ミャンマーを“失った”中国、反省するべきだ―英紙
●17日、英紙フィナンシャル・タイムズは中国はミャンマーを“失った”との記事を掲載した。2年前まで中国の従属国だったミャンマーだが、今では各国との多角的関係を結ぶことに積極的で、中国の影響力は後退している。
2013年6月17日、英紙フィナンシャル・タイムズは
「中国はミャンマーを“失った”」
との記事を掲載した。19日、環球時報が伝えた。
6月初め、ミャンマーで初めて世界経済フォーラム(WWF)の会議が開催された。
世界中から企業関係者が集まったが、ミャンマーと関係が深い中国からの参加者はわずか16人にとどまった。
ほんの2年前までミャンマーは孤立した全体主義体制であり、中国の従属国だった。
だが今、ミャンマーは門戸を開き、世界中の投資家が参入している。
WWFの会議では民族衣装を着た元将校がタイ、ベトナム、欧州、米国、日本の企業幹部と交流していたが、そこに中国人の姿はほとんどなかった。
中国の通信会社大手チャイナモバイルはボーダフォンと連合でミャンマーの携帯電話ネットワーク拡張プロジェクトに入札する予定だったが、中国企業に勝算はないと知らされ撤退している。
中国側の傲慢さ、ミャンマーに対する軽視、さらには軍の干渉が、中国とミャンマーの関係を悪化させた要因だと、一部の人々は考えている。
両国関係にまつわる事務の大半は、ミャンマーと隣接する雲南省政府と西南軍区に任されている。
こうした関係を見直すには多角的な友好関係を結ぶ必要があるとミャンマーの軍人たちは考えた。アウン・サン・スー・チーは「賢明な方法」で国際関係を処理すべきだと説いている。これは中国を含め、ミャンマーへの投資を望むものたちのバランスを取ることを意味している。
中国政府は失われたミャンマーへの影響力の回復を図るとともに、この問題で得るべき教訓は何か、よく反省する必要があるだろう。
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International Business Times 2013年6月8日 05時17分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/45209/20130608/614073/page2.htm
記者:Jacey Fortin、翻訳者:臼村さおり
急成長のミャンマー、30年間で経済規模が4倍との予測も
ミャンマーは、50年間におよんだ軍事政権の影を払拭しようと、大掛かりな改革を実施している。
自由化と民主化にたどりつくまでには、まだまだ長い道のりがある。
しかし、マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の最新のレポートによると、ミャンマーは、既に持続的な成長を享受する段階に入ったという。
つまり、さらに抜本的な政策変更をするタイミングは今である。
ミャンマー政府がこのチャンスを逃せば、成長への可能性を無駄にしてしまう危険性がある。
マッキンゼーのレポートは
「上手くいけば、ミャンマーは2010年から2030年の30年間で、450億米ドルから2000億米ドルへと、経済規模を規模を4倍にすることができる。
農業分野以外の雇用も1,000万創出できるであろう」
と指摘する。
しかし、そのためには、科学技術、製造業の成長、外国貿易への利便性や都市化の整備が必要となるという。
ミャンマーが歴史的な好機に直面しているのは確かであるが、進展が容易であると妄想を抱いている人は皆無である。
アジア・ソサエティ(the Asia Society)でグローバル政策プログラムを担当するスザンヌ・ディマジオ(Suzanne DiMaggio)氏は、
「これらの部門が繁栄するにはある程度時間がかかるでしょう。
現段階では、機能的な製造部門は存在しません。
電気通信分野については、政府が外国企業を誘致したため、育ってはいます。
しかし、今まで存在していなかった分野なので、ミャンマーに根付くには時間がかかるでしょう」
と述べた。
ミャンマーは、新しい文民政府が2010年に選出されて以来、かなり開かれてきた。
首都ネピドー(Naypyidaw)にいるテイン・セイン(Thein Sein)大統領は、政治的な野党勢力に対して、過去数十年間で最も寛容である。
しかし、同国の政治的自由と政府の透明性はまだまだ遅れている。
縁故主義や汚職も根強い。成長面においても、他のアジア諸国に遅れをとっている。
現在のGDP(国内総生産)は約520億ドルであり、全アジア諸国の約0.2%である。
とはいえ、事態は、軍事政権下ではもっと悪かった。
残忍な抑圧時代においては、国際社会はミャンマーに厳しい制裁措置を実施していた。(これらの制裁のほとんどは、2011年と2012年に解除された。)
今日のミャンマーは、積極的に国際投資を獲得しようと努めている。
2012年4月、ミャンマー中央銀行は管理変動相場制を導入。
1米ドル=818チャットという公式レートを設定した。
同年11月には、外国投資法案を改正。減税措置を設け、土地のリース規定も緩くした。
その努力は、報われている。
投資家や次善家は、かつては疎外されていたミャンマーに目を向けるようになった。
今月4日、コカ・コーラ社がミャンマーにボトリング工場をオープンした。
同社はさらに2億米ドルの投資をする予定である。
また、家庭用品メーカーのユニリーバ(Unilever PLC)は、今年、食品の生産を開始。向こう10年間でもう6億5,000万米ドルの投資を予定する。
援助も増えた。
アジア開発銀行は、昨年以来、同国に対して、5億3,000万米ドル以上の融資をした。
オバマ米大統領は、ミャンマーとパートナーシップを構築するために、向こう2年間で1億7,000万円の提供を約束した。
日本は5億米ドルの譲許的融資を提供した。
ミャンマーに成長の可能性がふんだんにあることは明らかである。
石油、ガス、鉱物、木材、水力、石炭など、天然資源が豊富にある。
東南アジアの真ん中に5,000万の人口を持つ同国は、新興大国の中国とインドにも近い。
さらには、インドネシアやバングラデシュのような急成長市場へも近い。
しかし、現在の貿易品目は貧弱である。
鉱業と炭化水素に過度に依存している。
そして、他の分野が急成長したしても、それを維持するために労働力を育成する必要がある。
現在、ミャンマー人のほとんどの人は小規模農家として生活している。
少なくとも、人口の4分の1は貧困ライン以下である。
まずは農業部門に投資することがミャンマー政府の最優先事項である。
数十年間にわたる貧困のサイクルに陥っている家族を救出して初めて、同国は、洗練された産業において収益性を確保するべく教育・訓練を施すという段階に進むことができる。
アジア・ソサエティのディマジオ氏は、
「ミャンマーの発展は決して一筋縄にはいきません。
土地の権利の紛争、汚職や宗派間の対立など、深刻な問題も引き起こされています」
と指摘した。
しかし、同氏は
「私はマッキンゼーのレポートに同意します。
今は非常に重要なタイミングなのです。
次の数年間でミャンマーの長期的な発展がどのように進むかが明確になると考えています」
と述べた。
同氏は、ミャンマーが今後、多くの選択困難な岐路に直面すると考えている。
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
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サーチナニュース 2013/07/29(月) 18:43
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0729&f=politics_0729_009.shtml
ミャンマーと中国を結ぶ天然ガス・パイプラインが正式に開通
ミャンマー第2の都市・マンダレーで同日、パイプラインの開通式典が行われ、ミャンマーのニャン・トゥン副大統領、同国駐在の楊厚蘭中国大使、中国石油天然ガスグループの汪東進副総裁らが参加した。
同パイプラインはミャンマーのチャウピュからナンカンを経由して中国の瑞麗まで敷かれ、ミャンマー国内だけで全長793キロ、年間120億立方メートルの天然ガスを送ることができる。
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[減速する成長、そして増強される軍備]
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