2013年6月11日火曜日

米中首脳会談、攻防8時間:その2日後、日米が離島奪還演習

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日本経済新聞  2013/6/11 2:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO56059210R10C13A6EA2000/

米中、攻防8時間:外交・経済で間合い探る

 【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)=中沢克二】
 米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席が2日間にわたる首脳会談を終えた。
 8時間にも及んだ長時間のトップ協議で米中が探ったのは「新しいタイプの大国関係」。
 沖縄県・尖閣諸島や北朝鮮への圧力などで、米中という2つの超大国は「対立と協調」を演出した。

■対立

 尖閣諸島を巡る問題はかなり長い時間をかけて議論された。
 「争いをエスカレートさせるべきではない。行動ではなく、外交的な対話が必要だ」。
 レーダー照射事件など、中国の挑発行為にくぎを刺す意味から、オバマ大統領は対話を求めた。

 「国家の主権と領土を断固として守る」。
 習主席は南シナ海でのフィリピンなどとの領有権問題に言及したうえで、こう強調した。
 さらにオバマ大統領に反論して
 「中国は対話による解決を求めている」
と主張。
 まずは日本などが挑発行動をやめるべきだと語った。

 自制を求める米国と、あくまで領有権を主張する中国の議論は平行線をたどった。
 アジア重視を掲げるオバマ政権はアジア太平洋地域での影響力を維持したい考え。
 日本が訴える尖閣問題をあえて議題に取り上げたのはその表れだ。
 東・南シナ海で周辺国の威嚇を続ける中国が、自制的な行動を取るかどうかが今後の注目点となる。

■けん制

 国際経済と国際政治の両方が絡んだ問題が環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
 世界2位の経済大国を自負する中国としては、TPP交渉でアジア太平洋や世界の貿易自由化ルールが決まるのを黙って見ているわけにはいかない。

 首脳会談で習主席はオバマ氏に「TPP交渉の進展に合わせた情報提供」を求めた。
 中国にはTPP交渉に早期に参加する意図はない。
 いわば、米国が主導する自由貿易圏づくりへの「けん制」だ。
 米国も条件を満たせばTPPへの参加は拒まないとして中国の求めに応じた。

 実は、中国が本格的にTPPの研究を始めたのはつい最近。
 訪米を控えた習主席周辺からの号令によって、商務省などがいきなり詳しい資料作りを迫られ、四苦八苦した様子がうかがえる。
 「国際政治的な側面からのTPP研究」(中国関係者)といえ、今後もTPPが米中の駆け引きの材料になるのは間違いない。

■協調

 「(対北朝鮮政策の)原則的な立場と全体的な目標で米中は一致している」。
 首脳会談後、中国の楊潔●(ち)国務委員は記者会見でこう語った。
 従来、北朝鮮への配慮を優先してきた中国としては踏み込んだ発言といえる。
 米中両首脳は、核実験を強行した北朝鮮の非核化の必要性や、国連の制裁決議の完全な履行で一致。
 米中の協調をアピールした。

 もっとも、これから先は難しい。
 中国はすでに北朝鮮の銀行口座の凍結などを実施しており、これによって自らの国際的な責任は果たしたという立場を取る。
 首脳会談で習主席は北朝鮮に核を放棄させるため、米国の貢献を要求したとみられるが、米国が北朝鮮に現在の金正恩(キム・ジョンウン)体制の維持を保証するのは極めて困難だ。
 北朝鮮問題の行方が見えるまでにはなお時間がかかる。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/11 08:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/11/2013061100456.html

米中首脳会談の2日後、日米が離島奪還演習
カリフォルニア州南部の沿岸で2週間にわたって実施
陸海空自約1000人、ヘリ搭載型護衛艦・輸送艦などが参加

 米軍と自衛隊は10日、米国カリフォルニア州南部の沿岸地域で大々的な離島奪還演習に入った。
 今月8日に中国の習近平国家主席がカリフォルニアの保養地ランチョミラージュで米国のバラク・オバマ大統領と初の首脳会談を行い、中国に戻ってからわずか2日後のことだ。

 半国営メディアの中国新聞社は10日、日本メディアの報道などを引用して
 「米軍と日本の自衛隊が、カリフォルニア州サンディエゴに近いペンドルトン海兵隊基地やサンクレメンテ島で、揚陸艦などを動員し、2週間にわたる離島奪還演習に入った」
と報じた。
 「明け方の奇襲(dawn blitz)」と名付けられた今回の演習は、敵に占領された島を奪還する作戦を想定して行われる。

 自衛隊が米軍から作戦を学ぶことが主目的で、実戦に備えた演習という色合いが濃い、と中国新聞社は報じている。

 今年の演習には、史上初めて日本の陸海空自約1000人が参加する。
 日本は2005年から毎年ペンドルトン基地で米軍と合同の離島奪還演習を行ってきたが、これまでは陸上自衛隊だけが参加していた。
 今回はヘリ搭載型護衛艦(DDH)1隻を含む護衛艦4隻と輸送艦など、海上自衛隊の主力艦も多数動員された。
 米軍は主に海兵隊が演習に参加するという。

 中国は今回の演習について、領有権をめぐり日中が対立している尖閣諸島(中国名:釣魚島)を念頭に置いたものだとして、強い反対の意思を伝えたとのことだ。
 しかし、日米両国は「特定の国を念頭に置いたものではない」として演習を強行した。
 日本は昨年11月、尖閣諸島付近で日米合同の離島奪還演習を計画したが、中国の強い反対により演習計画を取り消したことがある。

 日本は、米中首脳会談の直後に始まった今回の演習について、日米同盟の強固さを示すものと評価している。
 安倍晋三首相は9日、NHKの番組に出演し
 「中国は世界戦略で当然、米中関係を良くしていこう、米中で接近してオバマ大統領と信頼関係を築こうとすると思う。
 その方向は間違っていないし、世界の平和と安定にとってはいいことだろうと思う」
と述べる一方
 「日米関係は同盟関係であり、第7艦隊の拠点が日本にあるからこそ、米国はアジアでのプレゼンスを守ることができる。
 これは決定的な差と言ってもいい。
 米国が、日本から上海に基地を移すということはあり得ない
と語った。

 また台湾の民進党の蘇貞昌代表も今月8日、米国ロサンゼルスに到着し、10泊11日の日程で米加歴訪に入った。
 最大野党の民進党は台湾独立を主張しており、中国との関係はあまり良くない政党だ。





減速する成長、そして増強される軍備


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