2013年6月19日水曜日

中国のビジネスは?:ベトナム・メキシコ・米国の3カ国が徐々に奪っていく

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●16日、中国はすでに世界第2のアウトソーシング受託国になったことが分かった。写真は2012年、南京国際展覧センターで行われた、新たなアウトソーシングに関する起業家招聘会。



レコードチャイナ 配信日時:2013年6月19日 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73434&type=0

ベトナム・メキシコ・米国の3カ国、中国のビジネスを徐々に奪う―米メディア

 2013年6月17日、環球時報によると、金融・投資情報の提供を専門とする米モトレー・フールのウェブサイトが15日、
 「中国のビジネスを奪う3カ国」
と題する記事を掲載した。
 国際通貨基金(IMF)の試算では、
 2040年には中国で失業者が1億人
に達するとされ、その一部はハイテクによって失われるが、さらに多くのポストが他の国、とりわけベトナムとメキシコ、そして米国に奪われてしまうという。

★.ベトナムはアジアの新たな「廉価王国」として台頭し、労働力市場においても中国に対して優勢を維持するとみられる。
 ナイキは多くの犠牲を払いながら中国からベトナムへシフトした企業の1つだが、韓国のサムスン電子もコストの上昇からベトナムへの移転を計画している。
 カンボジアなどの追い上げはあるものの、中国がコスト面での優位を失う中、ベトナムは今後数年にわたって利益を得ると予想されている。

★.メキシコの平均賃金は中国よりも高いが、より熟練した労働者を多く育成しており、とりわけエンジニアリングやハイテク分野では生産性の向上が見込まれることから、コスト引き下げに尽力する米国企業にとって中国に代わる魅力的な選択肢となっている。

★.米国の平均賃金も中国より遙かに高いが、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の試算では、生産性を考慮すると2015年には中国の平均賃金レベルは米国の69%にも達する。
 2001年には36%だった。
 米国の労働者は育成機会が得られやすく、より複雑なツールも使いこなせることが大きな優位となる。

 また、中国はアウトソーシングの分野でもコスト高から劣勢になっている。
 2015年には米国で生産する場合とコストが同等になり、「メイド・イン・チャイナ」は「メイド・イン・アメリカ」よりも高くなってしまう
と予想されており、コスト面での優位性がなくなれば遠い中国に生産を頼る必要はなくなるだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2013年6月17日 22時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73376&type=0

中国、世界第2のアウトソーシング受託国に―中国メディア

 2013年6月16日、中国・江蘇省無錫市で今月15日に開催された第6回世界アウトソーシング大会によると、中国はすでに世界第2のアウトソーシング受託国になった。
 年40%の増加を続けた場合、中国のアウトソーシング市場は2015年に850億ドル(約8兆291億円)に達する見通しで、潜在力が非常に大きいこの市場は、都市のモデル転換、経済のアップグレードに明らかな効果を及ぼす。
 人民網が伝えた。

 現在、世界のアウトソーシング市場は1兆ドル(約945兆円)余りで、今後15年間で10兆ドル(約9450兆円)に達すると予想される。
 最も急速に発展しているのがアジア太平洋地域だ。
 2012年に世界のサービスアウトソーシング契約額は前年比9%減少したが、アジア太平洋地域は31%増加し、世界のサービスアウトソーシングの中心地となった。
 このうちインドが首位に立ち続けている。
 中国は受託額が2008年の46億9000万ドル(約4430億6430万円)から2012年には336億4000万ドル(約3兆1779億7080万円)に増加。
 年平均60%以上の増加を示し、世界第2のアウトソーシング受託国に躍進した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)



JB Press 2013.08.08(木)  中 康二:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38358

進出するなら今、ベトナムはASEANのハブになる!
東京からホーチミンに拠点を移したIT企業経営者に聞く


●ホーチミンにも高層コンドミニアムが沢山建つようになった

 ベトナムは、人口9000万人を超える大国だ。
 1960年からから始まったベトナム戦争ではアメリカの物量作戦に対して、甚大な被害を受けながらも1975年に勝利を収めた経験を持ち、今や国民の「しあわせ度(NEF/地球幸福度指数)」が世界2位に達するまでに回復を遂げた。

 しかしながら、社会主義国であり、ビジネスの常識が通用するのか、しないのか、いま一つはっきりとしないのも事実。
 ASEANの中では後発グループに属するこの国は、人件費の安さは際立っているものの、そのメリットをうまく活用できるのかどうか。

■社会主義国ベトナムにまるごと拠点を移したわけ

 そんな不安がある中でも、幹部クラスでそろって移住し、本拠地を東京からホーチミンに完全に移したIT企業がある。
 オーテック・ベトナムがそれだ。

 今回はオーテック・ベトナムの林道雄会長(46歳)に、ベトナムでの起業事情についてお聞きしたので、この場を借りて共有したい。
 あとに続く日本人起業家の皆さんの参考になればと思う。

――まず、海外に進出した経緯を教えて下さい。

林: オーテック(ITホールディングスグループ。
 インテックの100%子会社)として、商品先物やFX(外国為替)の売買システムを開発し、証券会社やFX会社に貸し出すビジネスをやっていました。

 価格競争が激しくなる中で、2008年頃、コスト削減を狙って中国の成都にある企業に開発を一部移転したのが海外に目を向けた最初です。

 ところが、その後、IBMやオラクルといった巨大企業が開発拠点を成都に開き、エンジニアが一本釣りで次々と取られ、人件費も高騰していきましたので、このままではコスト削減効果がなくなると考えて、ASEANに目を向けたのです。

 もう一つの側面としては、アジア向けビジネスを拡大したいという思いもありました。
 やはり東京にとどまっていては、いくら出張で出ていってもなかなかビジネスが拡大しない。

 拠点まるごと移して移住するくらいでないと、アジアの皆さんに商品やサービスを売ることは難しいと思いました。
 ですから、沈みゆく経済大国・日本に見切りをつけて、アジアに乗り出そうという考えも大きかったのです。

■きれいに手入れされたバイクに、ベトナム人の可能性を見た

――どうしてベトナムを選んだのですか。

林: 外国為替の本場はシンガポールです。
 実際シンガポール法人の立ち上げなども考えていました。

 しかし、私たちとしては低コストでの開発環境を整えるのがまず第一であり、シンガポールではそれが不可能でしたので、まずは選択肢から外れました。
 マレーシア、タイも同様でした。

 本当は最も人件費が安価なミャンマーに行きたかったのですが、通信インフラやITの人材があまりにも弱く、時期尚早と判断しました。
 また、フィリピンは好条件だったのですが、治安が悪すぎるため、第1号の社員を1人で送り込むのに責任が持てないと思いました。

 ここで、ベトナムが浮かび上がってきたわけです。

 ホーチミンなら、社員を1人で送り込んでも、治安の問題はないと判断しました。
 何よりも、街がきれいです。
 街を行くバイクもきちんと手入れされていて、この国の人たちならいい仕事をしてくれるんじゃないかと気に入ったのです。


●バイク文化が花咲くホーチミン市内

 オーテックの子会社としてベトナム法人を立ち上げたのが2012年6月。
 この時は日本人社員を1人送り込んで、私は出張対応で行ったり来たりする体制でスタートしました。

 その後、2013年3月末をもって、オーテックを親会社のインテックに吸収してもらい、孫会社だったオーテック・ベトナムをインテックの100%子会社に組み替えました。

 このタイミングで、私以下4名の幹部がベトナムに移住し、オーテックとしての拠点が完全にベトナムに移ったことになります。

■インフラ整備が進む隣国カンボジアの巨大案件に携わる

——ベトナムに移った後、ビジネスは順調ですか。

林: はい。従来、日本または成都でやっていたシステム開発やシステム保守の仕事をホーチミンで継続して行う一方で、カンボジアでの巨大案件が動き出しています。

林: カンボジアは、ベトナムよりもさらに遅れていて、今まさにインフラを一つひとつ整備しているところです。
 そんな中で、農業、港湾、道路などのインフラ整備に付随する情報システムの構築や、本来私たちが最も得意としている金融関係のビジネスが動き出しています。

 まだ詳しくは言えませんが、これらは政府関係者も巻き込んだ、国家レベルの話になっています。

 私たちとしては、ホーチミンの開発拠点の能力をもっともっと上げていかなければなりませんし、それでも間に合わないかもしれません。
 それでも、この場所に腰を据えて、何としてでもこの期待に応えたいと思っています。

——ベトナム人の社員は期待に応えてくれていますか。

林: まだ若い社員が多いので、これから教育していくところですが、オフィスが汚れていたら何も言わなくても掃除してくれるといったように、自分で気づいてなんとかする傾向があります。これはいい資質だと思います。

 ただし、日本人のように仕事に命を懸けるようなカルチャーはありません。
 仕事に対する姿勢は淡白というか、アルバイト感覚で、離職率も高いです。

 家族を大事にするカルチャーが強く、会社にそれほど帰属意識を持たないようです。
 ですので、私たちは、社員の誕生日にはパーティーをするなど、あたかも家族であるかのように会社を運営するようにしています。

■ベトナムでの法人設立に必要な「ライセンス」

——法人設立の手続きを教えて下さい。

林: こちらのコンサルティング会社や法律事務所に相談して、法人設立の手続きをしました。
 私たちの場合は、100%外資で設立しました。
 申請してから許可が下りるまでに3カ月かかりました。

 ベトナムが社会主義国であることを一番痛感することですが、どんな法人を設立する場合でも「ライセンス」が必要なのです。
 どんな事業をしてもいいのではないのです。
 こういう事業をしたいのでライセンスを下さいと、地方政府に申請し、許可が下りて初めて法人が設立できるのです。


林: 法人設立後も、設立時に申請した業務内容以外の事業を勝手に展開してはいけません。
 ちなみに弊社は「ソフト開発」「ソフトウエアメンテナンス」「BPO(アウトソーシング)」「人材コンサルティング」「インフラコンサルティング」のライセンスを保有しています。

 ライセンスの範囲内で事業を展開する分には何の問題もありません。
 特に政府の規制を意識することはありません。

——ライセンスをもらうのが厳しい業種もあるのですか。

林: はい。
 ベトナム人の雇用を奪ったり、既存のベトナム人のビジネスを奪うような、飲食店やサービス業での進出は難しいと思ったほうがいいと思います。

 逆にベトナム人を雇用して、輸出製品を作るような製造業や、IT関係は歓迎されると思います。
 詳しくはJETROさんなどに問い合わせてみてください。

——会社設立の資金はどのようにして送金しましたか。

林: 資本金は、日本の口座からこちらの口座に銀行間で送金しました。
 ライセンスが下りれば、送金は問題ないのです。

■贅沢しなければ月10万円で暮らせる

——細かい話ですが、自宅はどうしていますか。

林: 職場から歩いて10分くらいのところにある、ワンルームのサービスアパートメントに住んでいます。
 月1000万ドン(約5万円)くらいです。
 現地の不動産会社の紹介で、会社で借り上げました。

——ビザはどうされましたか。

林: 法人を立ち上げる前は、3カ月の就労ビザで入国していました。
 法人を立ち上げた後は、会社から労働許可を申請して、1人ずつ2年間有効の労働ビザに切り替えていきました。

——この事務所はどのようにして借りましたか?

林: 「シティビュー」というオフィス兼コンドミニアムのようなビルに入居しています。
 130平方メートルで、月5000万ドン(約25万円)くらいです。
 これも現地の不動産会社の紹介で借りました。
 内装工事はセキュリティ対策も含めて日系の業者に発注し、数百万円くらいかかりました。

——ネット環境はどうなっていますか?

林: オフィスは光ファイバーを引いています。
 月100万ドン(約5000円)程度です。
 品質はそんなに悪くないですよ。
 当社の場合は、日本のシステムのメンテナンスもしているので、別途、日本までの専用線も引いてます。
 これはかなり高額です。

 自宅のサービスアパートメントには、無料でWiFiがついていて、これを使用しています。

 携帯電話は日本より圧倒的に安いです。
 プリペイドSIMカードを10万ドン(約500円)分くらい買って1カ月以上持ちます。
 これで1.5GB(ギガバイト)まで通信可能です。

 また、市内通話は本当にタダみたいな価格ですし、日本まで国際通話をかけても1分30円ほどですから、日本で携帯同士で通話しているより安いかもしれません。

——物価はどうですか?

林: こちらの人たちは自宅にキッチンがなく、3食とも外食という人も多いです。
 それでも、1食3万~4万ドン(約150~200円)くらいですので、3食とも外食でも1日1000円以内に収まります。

 ですから、贅沢しなければ、家賃や携帯電話代を入れても月10万円くらいあれば生きていけます。

 ただし、海外製のパソコンやスマホなどは関税がかかりますので、かなり高価です。
 また、高級レストランやゴルフ場のように、外国人や富裕層用のサービスは高いです(ゴルフは1回1万円超)。

■IT関連業種には法人税の優遇税制が

——税金はどうなっていますか?

林: 法人税については、IT関係の業種は優遇税制があって当面の間は0%です。
 所得税は累進税率があり、日本人の給料だと上限の35%になります。

——利益を国外に持ち出すことはできるのですか?

林: きちんと申告して法人税の処理なども終わったお金は、自由に国外に持ち出すことができます。

——仕事はどのようにして進めていますか?

林: うちではベトナム人のシステム要員を雇っていますが、必ずしも日本語ができなくてもよしとしています。
 その代わり、別途日本語のできる社員を通訳として雇って、コミュニケーションを取っています。
 その方が総合的によい人材を安価に確保できるのです。

 ただし、長期的には日本人社員もベトナム語をできるようにならないといけないと思いますし、ベトナム人社員も日本語ができるようにならないといけないと思いますから、いずれにも語学教育を実施しています。

 また、当たり前のことですが、日本人同士のように以心伝心で伝わることを期待してはいけませんので、システム開発の要件などは、きちんと背景も含めて説明するように、日本人側に徹底しています。

——最後に日本人に対するメッセージをお願いします。

林: 思い切って、こっちに来てください。

 ベトナムは今後、ASEANのハブになると思います。
 海のASEANと言われるフィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアと、陸のASEANと言われるタイ、カンボジア、ミャンマーなどのちょうど真ん中に位置しています。


●郊外には莫大な工場用地が広がる

 ミャンマーからタイ、ラオスを通過してベトナムまでの高速道路の建設が進んでおり、ベトナムからは船で荷物を運べます。
 どんどん発展していくと思います。

 まだ住んでいる日本人は少ないです。
 今、ベトナムに来れば、アドバンテージを持てます。
 労働力の安さが魅力です。
 製造業の皆さんにもどんどん進出してきて欲しいです。政府も歓迎してくれます。

 みんなと同じことをしていては、ビジネスでの成功は難しいと思います。
 そういう意味で、今のベトナムはちょうど進出するのにいい時期だと思います。
 どうぞ、お越しになられることをお待ちしております。

中 康二 Koji Naka:
大阪府出身。東大寺学園高等学校卒業、一橋大学卒業後、ソニー株式会社に入社。人事系部署、ISP「ぷらら」の立ち上げ、パソコン「VAIO」「CLIE」のマーケティングと、幅広い業務で活躍した。2005年に個人情報保護の専門会社オプティマ・ソリューションズを創業。同社は、多くの企業がプライバシーマークを取得、更新するのをサポートしている。著書に『<図解>個人情報保護法』(朝日新聞社)、『これだけ!個人情報保護士試験完全対策』(あさ出版)がある




減速する成長、そして増強される軍備


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